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2008年12月09日(火) 21時11分

<GDP>下方修正…日本経済、高い外需依存に懸念毎日新聞

 08年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値が年率換算で前期比1.8%減と大幅に落ち込んだ結果、08年度はマイナス成長となることが確実になった。IT(情報技術)バブル崩壊後の01年度以来7年ぶりのマイナス成長だが、前回と異なり、旺盛な需要で世界経済を支えてきた米国が今回は、深刻な不況に見舞われている。日本を含めた世界経済の成長モデルそのものが崩壊の危機に立たされており、外需依存度の高い日本経済が「長くて深い不況に陥る」(第一生命経済研究所の新家義貴氏)懸念が高まっている。

 昨年末ごろから始まったと見られる今回の景気後退局面と、ITバブル崩壊時の不況とで大きく異なるのは、海外経済の状況だ。米国の01年の景気後退はIT関連の在庫調整と株価下落が問題となった。だが、在庫調整のテンポは速く、調整は長引かなかった。金融危機を伴う今回のように世界的な投資資金の収縮が起きなかったこともあり、中国など新興国経済が豊富なマネーに支えられ、米国経済に先んじて回復。01年度に7.9%減だった日本からの輸出も02年度には11.5%増と急回復し、日本経済は輸出増に支えられ、02年2月には後退から脱した。後退局面は1年2カ月にとどまった。

 ところが、今回はこれまで世界経済の成長のけん引役だった米国の個人消費が住宅バブル崩壊で一気に冷え込んだうえ、金融危機で日本も含めた国際金融市場で資金が一斉に枯渇。金融危機に直撃された欧州各国や新興国経済も景気後退、減速は避けられない。このため、日本の景気後退脱出のカギを握る輸出の早期回復は全く見込めない状況。10月以降は、自動車、電機業界が一斉に生産・雇用調整に踏み切っている。「10〜12月期の成長率はさらに悪くなる」(みずほ証券の上野泰也氏)との声もあり、日本の景気が底を打つ材料は見えていない。【尾村洋介】

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