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2008年12月09日(火) 21時05分

<雇用対策>3年で2兆円、140万人の雇用支える…政府毎日新聞

 政府は9日、「新たな雇用対策に関する関係閣僚会議」を開き、今後3年間で2兆円を投入し、140万人の雇用を支えることを目指した追加雇用対策を決定した。世界的な金融危機により、来春までに3万人の非正規社員が職を失うと指摘される中、対策には労働界も一定の評価をしている。ただ、財源の多くは年明け以降でないと成立しない08年度2次補正や09年度の予算案に盛り込まれている。今後実体経済は一層悪化するとみられており、対策の実施は時間との競争となる。

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 9日午前、首相は官邸に雇用対策の強化を要請に来た福島氏に笑顔で応じ、非正規社員の救済に力を入れていることを強調した。

 政府の追加対策の中で、中途解約を一定程度防ぐとみられるのが、雇用調整助成金の非正規社員への拡充だ。従業員をクビにせず、出向や休業とした企業を助成する制度だが、適用は正社員だけ。非正規も対象となると、解約が減る可能性を連合も指摘している。

 さらに非正規社員への雇用保険の適用基準を「1年以上の雇用見込み」から「半年」に緩和する方針も安全網となる。派遣社員らは3カ月、6カ月契約が多く、雇用保険から漏れる人が少なくない。

 それでも一連の施策は、予算案が成立しないと財源を調達できない。同日の会議では「迅速な対応」を確認したものの、年内実施に踏み切れそうなのは、失職し寮を出る必要がある非正規社員を雇用促進住宅の空き部屋(約1万3000戸)に緊急避難的に入居させることや、雇用情勢が厳しい地域での職業訓練強化、事業主への啓発などに限られる。

 派遣元企業と派遣社員間の労働契約は労働契約法で規定されている。ところが、派遣先企業と派遣社員間は「民間同士の契約」で、派遣先が中途解約しても基本的に政府は強制的な是正命令はできない。政府は追加対策に「中途解約に対する指導の強化」なども盛り込んでいるが、実効性には疑問符が付く。【吉田啓志】

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