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2008年12月09日(火) 00時49分

「ジョブ・カード」の対象を大学生にも拡大産経新聞

 厚生労働省は8日、就職できなかった新卒者のフリーター化を防ぐため、フリーターの就職を支援する「ジョブ・カード制度」を、就職活動中の大学生も利用できるようにする方針を固めた。就職前に企業で仕事を体験する「インターンシップ」や大学が実施している実践的なキャリア講座などの経歴をカードに書き込み、アピールできるようにすることで、就職活動を支援する。採用の内定取り消しが相次ぐなど“就職氷河期”再来の懸念が高まっており、来年度にも実施したい考えだ。

 ジョブ・カードは、職業訓練などの修了者が身に付けた技能、経歴などを証明するもの。ハローワークや雇用・能力開発機構の都道府県センターなどでキャリア・カウンセリングを受けることで交付される。

 米国発の金融危機が実体経済に影響を及ぼしてきている。このままでは就職氷河期が再来する懸念も出ており、同省は再びフリーターの増加を招かないために新規学卒者の就職にジョブ・カードを活用する。職業教育とジョブ・カードを連携させることで、大学生らの就職活動でも有効に活用できるとみている。

 ジョブ・カードは、一般的な履歴書より詳細にインターンシップなどの経験を記入できるメリットがある。大学生はインターンシップの経験や評価などを詳細に企業側に伝えることが容易になる。一方、採用する企業側も学生を多面的に評価して、ニーズにあった人材を採用できるメリットがある。

 ジョブ・カードはバブル崩壊後の「就職氷河期」に就職できず、職業訓練の機会がなかったため、フリーターにならざるを得なかった25〜35歳の年長フリーター世代に職業訓練を実施し、就職機会を拡大することを狙いに、今年4月から導入された。厚労省では年度内にリストラなどで退職した中高年をジョブ・カード制度の対象に加えるなど適用範囲拡大を進めている。

 新卒大学生らの内定取り消し件数は、大学からの情報や取り消し理由が不十分として指導中の事業所も含めて11月下旬で75件、302人に上った。すでに就職氷河期だった平成13年、14年3月卒の数字を上回っている。

 厚労省は、前年までのデータがハローワークへの報告分だけなので、単純比較はできないとしているものの、「このままでは北海道拓殖銀行や山一証券が破綻(はたん)した平成10年3月卒の922人を超える可能性もある」と警戒感を強めている。

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