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2008年12月09日(火) 19時08分

WTO年内大枠合意は困難 鉱工業品の分野別関税撤廃で米中印対立産経新聞

 世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長は8日、13〜15日にジュネーブで開催を予定していた新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の閣僚会合の延期を明らかにした。米国と中国、インドの対立が激しく、閣僚会合を開催しても合意が見込めないため。ラミー事務局長は17〜19日という年内開催の可能性を捨てていないが、対立が解消する望みは薄く、年内大枠合意は難しくなってきた。

 ラミー事務局長が開催を断念したのは、鉱工業品の分野別関税撤廃交渉で米中印が合意しないことが見込まれるため。同交渉は7月の閣僚会合では焦点にならなかったが、「年内大枠合意を目指すなかで対立点が顕在化」(交渉筋)した。

 7月の決裂要因となった途上国の緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動条件についても米中印の対立は解けていないほか、国内農業への補助金問題も合意点が見いだせていない。

 日本はこれらの対立に直接かかわっていないが、農産品の関税引き下げ交渉では日本の主張が認められていない。関税率の引き下げ幅を抑制できる重要品目の割合が、交渉のたたき台となる改訂議長案が最大で6%としているのに対し、日本は8%を求めており、閣僚会合が開かれれば厳しい交渉を強いられる。

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