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2008年12月08日(月) 16時11分

海外で起業って、簡単にできるもの?Oh! MyLife

 私は、数年前、ニュージーランドに移住し、旅行会社を設立した。この記事では、その体験をもとに、海外で起業するための方法や考え方を紹介していきたいと思う。

■クリアしなければならないのは、やはり言語!?

 ニュージーランドに移住してから、最初の10カ月は、現地の旅行会社に勤務した。そんななか、日本人である強みを活(い)かして始められるビジネスはないかと考えていた。そして、日本人向けに、ニュージーランド国内のツアーコーディネイトに特化した旅行会社を作ろうと考えた。

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 パートナーとともにビジネスプランを練り、オペレーション方法など詳細も綿密にプランニングした。最初の1年間、5年後、10年後、それぞれの収支や利益をシミュレーションし、ビジネスとして成立させるための計画書を作った。構想から約8カ月後、実行に移すことができた。

 ニュージーランドでビジネスを始めるのは極めて簡単と言われている。アイデアとビジネスを成立させるのに最低限必要な資金さえあれば、あとは必要な書類を準備し、政府に提出、会社を登録する手続きを行うだけだ。登録におけるすべての作業を代行してくれるエージェントも多いので、最初から詳細を理解していなくても、あとで送られてくるパックにまとめられた内容に目を通せばOKだったりもする。

 簡単とは言っても、クリアしなければならない障害はもちろんある。それは言語だ。会社を設立する際に認識しなければならない規則や法律を理解することは、その国の言語にある程度精通していなければ難しい。

 しかし、仮にその国の言語を話せなくてもすべて面倒を見てくれるバイリンガルのエージェントも存在するはずだ。英語を話せないにも関わらずビジネスを営む移民が山ほどいることを考えると、バイリンガルのヘルプなしにビジネスの実現は難しいだろうからだ。

 私の場合、できるだけ安く済ませたかったので、リサーチを自分でするなど、できる限り独力でやったが、もし、言葉が障害になるようであれば、日本語を話すエージェントがいるかどうか調べてみると良いだろう。現地の日本語情報誌にはそういったエージェントなどの広告も載っている。それらの情報誌は日本レストランやお土産やさんなどのレジ周りにあることが多い。「ご自由にお取りください」というサインが書かれているはずなのですぐに見つかるはずだ。

■ビジネスを運営するプロセスは変わらない

 取引先の銀行口座の開設もさほど難しくない。ビジネス口座に重きを置いている銀行、個人口座に重きを置いている銀行など特色はいろいろあるが、それは支店に行ってビジネス口座担当者から話を聞けばすぐにわかる。ここでもまた言語の問題が挙げられるが、日本人の人口や観光客がそれなりに多い地域では、主要銀行であれば支店に日本人のスタッフを配置していることも少なくない。日本語でのやり取りができれば、安心感もあり、信頼度も増すので、それを理由に銀行を決めてしまっても良いと思う。

 ちなみに、私の場合、それまでの海外滞在経験は最大でも1カ月程度と短く、義務教育と中学時代の塾で培った英語能力くらいしかなかったので、渡航してからの最初の半年間は語学学校でみっちりと英語の勉強をした。もちろん、外国語は6カ月間で簡単に身につくようなものではないので、その後も日々の努力は続いたが、英語の環境に早くとけ込むことができたのは、最初の1年間、日本人や日本人コミュニティーとのつながりがほとんどゼロに等しかったからだと思う。

 また、ビジネスとなると税金関係の手続きも気になるところだ。日本人が経営する会社が比較的多かったニュージーランドでは、日本人もしくは日本語の通じる税理事務所がいくつかあった。しかし、私のように小さな会社の小規模ビジネスであれば、税理士にお願いをしなくても、送られてくるガイダンスにしたがって申告フォームに記入すれば、税収入の申告とファイリングができた。

 移民の多い国では、国内の税収入庁のサービスが手厚く、実際にアポイントメントを取り、ゆっくりと丁寧に教えてくれるケースが多い。高い料金を払って税理士にお願いするよりは、自分で学んでみるのもよいかもしれない(ビジネスの量が膨大で素人で管理しきれない場合を除いて)。

 「海外」というだけで、一歩引いて構えてしまう方も少なくないかもしれないが、会社を登録したあと、ビジネスを運営していくプロセスはどの国においてもそんなに変わらないはず。言語の部分をどんな形であれクリアできれば、海外で起業するのも手の届かない夢ではないだろう。

(記者:ウィットモア奈津子)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081208-00000002-omn-int