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2008年12月08日(月) 03時05分

生命の源・アミノ酸、隕石衝突で簡単に合成…実験で確認読売新聞

 地球の生命に欠かせないアミノ酸などの有機物が、隕石(いんせき)が海に衝突する際の化学反応で簡単に合成できることを、物質・材料研究機構と東北大学のグループが実験で確かめた。

 現在分かっている原始地球の大気組成に基づいて、生命物質の合成に成功したのは世界で初めて。科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに8日発表する。

 アミノ酸などの起源については、米国の化学者ミラーが1952年に、アンモニアやメタン、水蒸気を詰めたフラスコ内で放電、アミノ酸などを合成した有名な実験がある。

 しかし、原始の大気は、当時考えられていたようなアンモニアやメタンが主成分ではなく、二酸化炭素と窒素、水蒸気だったとする説が有力。この組成では、ミラー実験のような化学反応は起きないことから、生命物質の由来は再び謎となっていた。

 グループは、窒素ガスで満たした金属筒に水と炭素、鉄などを封入。超高速でプラスチック製弾丸を衝突させて筒の内部を瞬間的に約6万気圧に上げ、隕石の海洋衝突を再現した。その結果、アミノ酸の一種のグリシンや、脂肪酸、アミンといった、生物の体を構成する基本分子が生成した。

 同機構の中沢弘基・名誉フェローは「現段階で考えられる合理的なシナリオだ」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081208-00000003-yom-sci