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2008年12月08日(月) 02時30分

<無保険の子>1万3351人救済へ 235自治体が独自策毎日新聞

 親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で3万3354人の子ども(中学生以下)が「無保険」状態に陥っている問題で、全国235自治体が地元の1万3351人の救済に乗り出したことが7日、毎日新聞の調査で分かった。厚生労働省が発表した人数の4割にあたるが、独自救済は国保法の「法令違反の疑いがある」(栃木県佐野市)などと二の足を踏む自治体も多く、約2万人の救済のめどは立っていない。大多数の自治体が、国に明確な救済の方向性を示すよう求めた。

 全国調査は、厚労省調査(9月15日現在)で無保険の子がいた816自治体を対象に実施。556自治体から回答を得た(回答率68.1%)。

 厚労省調査による無保険の人数は、乳幼児5973人▽小学生1万6326人▽中学生1万1055人。これに対し、滞納世帯でも子どものために保険証を交付するなど、来春までに自治体が独自策で救済を図る子どもの数は、乳幼児で50%の2991人▽小学生で同39%の6398人▽中学生で同36%の3962人だった。

 一律解消を決めた235自治体で保険証を交付する対象年齢は、義務教育年限の中学生以下が最多で148自治体(63%)。小学生以下が11自治体(5%)、乳幼児のみが23自治体(10%)。高校生を念頭に置いて18歳以下としたのも53自治体(23%)を数えた。

 また救済策を固めていない321自治体でも、26%の85自治体が一律解消策を「検討中」と回答した。

 一方、国保法は保険給付は世帯単位で判断すると定めており、「子どもには交付したいが法的に特別扱いできず苦慮している」(岩手県奥州市)などの声も多い。さらに、子どもの医療で地域格差が広がることを懸念し、「医療制度は自治体ごとにばらつかない方がいい。国が明確な方向性を示してほしい」(福岡県直方市)などの声も強かった。【竹島一登、平野光芳】

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