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2008年12月08日(月) 02時15分

<市立岐阜商>立命館移管、推進か存続か 9日に文教委採決毎日新聞

 岐阜市立岐阜商業高校の学校法人「立命館」(京都市)への移管問題で、推進、存続それぞれの請願が市議会12月定例会に提出され、9日に文教委員会で採決される。立命館側は今年度中に議会が結論を出さなければ移管を白紙撤回すると表明しており、同委と11日に予定されている本会議の採決で事実上の決着が図られそうだ。

 ◇「絶好の機会」

 11月26日夜。移管を目指す市は市文化センターで説明会を開き、細江茂光市長が市民約1500人(市発表)に「立命館からの提案は100年に一度のチャンスだ」と訴えた。

 移管後、市岐阜商は立命館大進学へとつながる立命館岐阜高に衣替えする。繊維産業が衰退し、繁華街・柳ケ瀬もかつてのにぎわいを失った岐阜市にとって、移管は「若者を岐阜市に呼び込み、とどめることができる」(細江市長)願ってもない機会というわけだ。

 立命館によると、隣県・愛知は同大の受験者が全国で2番目に多く、市企画部の藤沢滋人部長は「名古屋の人の目を岐阜に向かせるきっかけになる」とも期待する。

 ◇「市の宝だ」

 一方、存続派もその1週間前に市内で集会を開いた。1300の席はすべて埋まり、立ち見も出るほど。今夏の甲子園出場を果たした野球部の元主将が「学校を残して」と訴え、主催者代表も「(市にとって)宝の学校だ」と力説、最後に「存続のためにガンバロー」と気勢を上げた。

 市岐阜商の08年度入試倍率は経営管理科が1.22倍、情報処理科1倍。移管反対派は「定員割れを起こしていない学校をなぜ廃止にするのか」と市長らへの不信感を募らせる。

 ◇会派が分裂

 市議会も移管への対応をめぐり、民主・社民系と無所属7人で構成する岐阜市民ネットクラブが分裂し、移管派が新会派を結成する事態に発展した。12月定例会の一般質問では、存続派から市長の政治責任を問う意見が続出するなど議会全体が大きく揺れている。

 現時点では、議会は存続派が優勢とみられ、存続請願を採択すれば市長が正反対の行動をとることは難しい。「移管を実現できなければ市長の指導力が低下する」と、今後の市政運営への影響を懸念する市議も出始めている。【鈴木敬子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081208-00000004-mai-soci