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2008年12月08日(月) 16時00分

マンションが当たる「くじ」をスペインで開始 不動産市場が崩壊寸前の日本でも注目MONEYzine

 日本と同様、不動産不況に苦しむスペインで、不動産会社がバルセロナ郊外で売れ残っている31戸のマンションを今月3日からくじ方式で売りに出したことが日本の不動産業者の間でも話題となっている。

 スペインの不動産市場はこの10年間好況が続いてきたが、世界金融危機の影響も受け、現在不況に陥っており、今年1−9月期の不動産販売は前年同期比で3割近くまで落ち込んでしまった。そこで不動産業界では売上回復のためにさまざまな新しいアイデアを生み出して、販売促進を目指している。10月には他の業者が、地中海岸の保養地の4寝室のタウンハウスを購入した客に、1寝室のマンションを無料で付けるサービスを行ったことが話題になったばかりだ。

 そして今回発表された新アイデアはくじ。くじは1枚50ユーロ(約6000円)で、各戸につき7000枚で売り出される。不動産会社は一戸につき35万ユーロ(約4200万円)を得る計算になるが、もし、くじが6500枚以下しか売れなければそのマンションのくじ販売は中止となり、くじの代金も払い戻される。くじをたくさん売ることができれば、不動産会社はそれだけ儲けられるし、幸運にも当選した住民は、たった6000円ほどでマンションを得ることができる。「枚数が達しない場合にくじを払い戻すことができれば、不動産会社もリスクが少ない」(不動産・営業職)と、低迷する日本不動産業界からも注目が集まっており、この仕組みが機能すれば参考になりそうだ。

 スペインではくじが盛んで、今回のようなマンションくじが考案されたが、過去には行き過ぎた例もある。5月には首都マドリード近郊に住む男性が、住宅ローンの支払いが難しくなったため、くじでマンションを売却しようとしたが、適切な許可が得られず取り止めとなった例がある。また先月には賞品が豊胸手術のくじの販売を企画していたナイトクラブが、苦情が殺到したことを受けイベントを中止している。不況に苦しむスペインの不動産の期待を背負って登場したマンションくじ。はたして31戸分のくじが順調に売れるだろうか。

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