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2008年12月06日(土) 00時05分

学生にも金融危機の波 奨学金予約制度の早大3週間で150人申請産経新聞

 金融危機で受験生に影響が出るのを懸念し、早稲田大学が来春の入試の出願前に奨学金を予約できる制度を導入したところ、約3週間で約150人の申請があったことが5日、分かった。過去の奨学金制度は成績上位者に限られるなどの審査があったが、この制度では家計の状況をより重視しているのが特徴。同様の奨学金制度は他大学にも広がっており、早大では「周知期間が短いのに反響が大きい。不況が受験生にも相当な影を落としている」とみている。

 早稲田大の奨学金予約制度は、地方受験生が合格した場合、奨学金を受けられるように受験前に予約するもので、全国初の試み。返済義務はなく、年額40万円を4年間支給する。

 金融危機が世界的に広がった10月以降、学費の延納などについて、学生からの相談が1カ月間で145件もあったことから、受験生への影響を懸念し、当初の計画よりも1年前倒しで実施することになった。

 審査は家計の状況を重視し、保護者の年収が600万円未満か、保護者の退職や廃業を証明する書類が必要な以外は、高校の成績は平均3・5という条件だけで、同大広報課では「経済的な負担で受験をあきらめずに済むはず」。

 11月10〜28日までの19日間だけの募集だったが、39道府県から153人の申し込みが寄せられた。同課では「予想以上の反響。金融危機の影響の大きさがうかがえる」としている。

 早稲田だけでなく、成績よりも家計の状況を重視した奨学金制度を打ち出す大学はほかにも増えている。神奈川大では、保護者のリストラなどで後期学費が払えなくなったと相談に訪れる学生が約300人にのぼり急遽(きゆうきょ)、年間10万円を無償提供する奨学金制度を導入。8日から募集を始める。明治学院大学や聖学院大学でも、同様の制度を始めた。

 早稲田と並ぶ私学の雄、慶応義塾大学でも、「創立150年記念奨学金」を新設。どのような経済的な状況でも安心して勉強できるようにと、平成21年度から550人の学生に授業料の3割を給付する。こちらも年収などの家計状況を重視するという。

 経済アナリストの森永卓郎さんは「ボーナスの減額やリストラで多少なりとも、受験生や学生に影響が出始めている。受験生や学生に罪はない。同様の奨学金がさらに増えることを望みたい」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000500-san-soci