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2008年12月06日(土) 17時17分

大半が辞退の質問 裁判員制度の問い合わせ(和歌山)紀伊民報

 来年5月に始まる裁判員制度で、候補者の通知書を受け取った人から和歌山地裁(和歌山市)などに問い合わせが寄せられている。ほとんどが辞退に関する内容という。地裁総務課の望月玲子課長補佐は「不安はあって当然。関係者は分かりやすい裁判にするための努力をしている」としており、制度への理解を求めている。
 裁判員制度は、これまで法曹3者(検察、弁護士、裁判所)だけで行われていた裁判に市民の感覚を取り入れることで、透明性の高い裁判にすることを目的にしている。
 裁判員が参加するのは、来年5月21日以降に被告が起訴された殺人や強盗致死、放火などの重大事件の裁判。和歌山地裁では昨年、対象となる事件は16件だった。基本的には6人が裁判官3人と協議し、有罪か無罪か、有罪の場合は量刑も決める。約7割の裁判は、3日以内で終わるという。
 裁判員候補者は、全国に約29万5000人。うち、県内では2400人いる。
 県内の候補者に送られた通知書の中には、問い合わせを受けるコールセンター(東京)と、和歌山地裁の電話番号が記載されている。同センターには、最高裁が通知を発送した11月29日〜12月3日に全国から約1万3000件、和歌山地裁には1〜4日で45件の問い合わせがあった。「どうすれば辞退できるのか」「こんな場合は辞退できるか」といった内容がほとんどという。
 一つの裁判ごとに50〜100人の候補者がくじを引く。この人らは裁判の当日朝、裁判所へ行って面接を受け、最終的に6人がくじで選ばれる。裁判は午後から始まる。基本的には、一度裁判所へ来た人は、その年は別の裁判で呼ばれることはない。
 県内で裁判員が参加する裁判は地裁だけで、北山村や新宮市などに住む人にとってはかなりの遠出となるが、ただ「遠い」というだけでは辞退できない。前日や裁判中の宿泊が必要と認められれば、その代金も法律に基づいて支給され日当も出る。
 辞退できる理由は「70歳以上」「司法関係者」など、いくつかある。ただ「仕事が忙しい」ではなく「どうしても担当しなければいけない仕事がある」などの理由が必要だが、状況に応じて判断されるという。
 裁判員は、関係者との接触や報復の可能性を避けるために守秘義務がある。家族や職場の上司に裁判員になったことを伝えるのは問題ない。
 被告を裁くことへの不安にについて、望月課長補佐は「思ったことを遠慮なく発言してもらえればいい」と語る。実際、同じ事件を扱った模擬裁判では、地裁ごとに判決内容が違ったといい、「検察や弁護側の話し方や、裁判官によって変わるということなので、気にする必要はまったくない」と話している。

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裁判員制度を学習 南部長寿大学 (2008年01月23日更新)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000001-agara-l30