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2008年12月06日(土) 10時37分

飛騨牛偽装 「丸明」の吉田前社長ら3人逮捕 岐阜県警毎日新聞

 岐阜県養老町の食肉卸売会社「丸明(まるあき)」による飛騨牛偽装事件で、県警生活環境課などは6日、丸明前社長の吉田明一容疑者(65)と吉田容疑者の親族2人を不正競争防止法違反(誤認惹起(じゃっき)行為)の疑いで逮捕した。県警は吉田容疑者が偽装を主導したと判断。偽装により割高で売った分の利益をだまし取った疑いがあるとして、詐欺容疑での立件も視野に捜査を進める。

 ほかに逮捕されたのは、吉田容疑者の次男で同社前常務の健二容疑者(38)と、妹で社員のかよ子容疑者(56)。

 調べでは、吉田容疑者らは大手ビール会社が07年に実施したキャンペーンで、プレゼント用として飛騨牛を販売する契約を締結。同年10〜11月中旬、丸明養老店で4等級を含むすき焼き用牛肉を詰めた1000箱(1箱約600グラム)に、「飛騨牛最上級品5等級」などと印刷されたシールを張り、11月15日と22日の2回にわけて、広告制作会社に渡した疑い。

 飛騨牛偽装事件は今年6月に発覚した。吉田前社長は発覚直後の記者会見では、約1年半前から3等級の飛騨牛に2等級の牛肉を混ぜるよう自ら社員に指示していたことを認め、7月に社長を退いた。だが、その後も仕入れ担当社員として同社の業務にかかわっていた。飛騨牛と表示できるのは、岐阜県内で14カ月以上肥育された黒毛和種のうち、日本食肉格付協会の格付けで肉質等級が3〜5等級のみ。

 県警は7月、不正競争防止法違反容疑で本社工場などを家宅捜索し、従業員らから事情聴取。岐阜県と農林水産省は日本農林規格(JAS)法に基づく行政指導を行い、丸明は9月17日まで小売店やレストランの営業を自粛した。【山田尚弘】

 【ことば】不正競争防止法

 商品の原産地や品質の虚偽表示のほか、商品の広告や取引に用いる書類などに商品の原産地、品質、製造方法などを誤認させる表示をしたり、表示した商品を譲渡・展示する行為などを禁じている。違反の場合は5年以下の懲役か500万円以下の罰金を科す。北海道の食肉加工卸会社「ミートホープ」による偽装表示事件や、中国産ウナギを三河一色産と偽装した事件で適用された。

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