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2008年12月06日(土) 08時03分

【あなたが裁く 迫る裁判員制度】「辞退」関連が6割 通知問い合わせ 産経新聞

 ■候補者不足を懸念

 来年5月に始まる裁判員制度で、候補者に通知が発送されてから、5日で1週間。最高裁が先月29日に設置した候補者専用のコールセンターには、4日までに計1万5680本の電話があり、そのうち6割近い約8970本が辞退に関する質問だった。最高裁は「辞退には柔軟に対応すべき」という姿勢を打ち出しているが、「認めすぎると候補者が不足する可能性もゼロではない」と懸念する声も出ている。

 千葉県の男性(55)は通知を受け取った後、早速センターに電話したという。「なぜ、ずぶの素人の私に、と思った。仕事も多忙で辞退したい」

 男性は従業員10人ほどの運送会社に勤務。各自にトラックが割り当てられていて、1人でも欠けると会社は大損害という。「社長にも相談して断る口実をみつける。日々の水揚げで稼いでいるのに、1万円程度の裁判員の日当では、割に合わない」と話す。

 各地裁は模擬裁判のなかで、裁判員の選任手続きについても、さまざまな辞退理由を想定した“練習”を行ってきた。

 裁判員は呼出状を受け取って裁判所を訪れた候補者から、裁判官らが辞退希望の理由を聴いた上で選任される。架空の理由だが、模擬裁判で認めれたものには「椎間板(ついかんばん)ヘルニアで長時間座るのが辛い」「妻の出産に立ち会いたいが、いつ生まれてもおかしくないと診断された」などがあった。代わりがいないことや、別の日に変更できないことが基準となる。

 最高裁の竹崎博允長官は就任の際、「裁判員の選定では生活に影響を与えないよう、辞退の理由を柔軟に判断しなければならない」との見解を示した。最高裁関係者は「負担軽減しながら裁判員を確保する見極めが難しい」と話している。

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