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2008年12月06日(土) 12時06分

東金女児遺棄 まさか、こんな近くに…男聴取で住民ら騒然毎日新聞

 千葉県東金市東上宿(ひがしかみじゅく)の路上で保育園児の成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)が遺体で見つかった事件は6日、解決に向けて大きく展開した。発生から約2カ月半。県警東金署捜査本部が死体遺棄容疑で事情聴取と家宅捜索を始めたのは近くのマンションに住む無職の男(21)だった。土曜日の朝に騒然とする現場周辺の住民らは、身近な場所で起きた凶行に改めて憤り、失われた幼い命に悲しみを新たにした。【斎藤有香、神澤龍二】

【関連】東金女児遺棄:近くに住む21歳男を事情聴取、自宅を捜索

 ●任意同行●

 午前7時ごろ、男が住む東金市東上宿のマンション玄関で、捜査員が3階の部屋番号を押した。オートロックのドアが開き、捜査員数人が建物に入り、21歳の無職の男に任意同行を求めた。約10分後、マンション玄関から出てきた男は、大柄で小太り。ダウンジャケットのフードですっぽりと顔を隠し、報道関係者のカメラに気づくと、左手で鼻の頭をかく仕草を見せた。捜査員に促された男は、うつむいたままゆっくり歩き、無言で警察車両に乗り込んだ。

 マンション4階に住む無職男性(74)宅には午前7時50分ごろ、捜査員が訪れ「シートを張るためのロープをかけさせてほしい。理由は言えない。テレビを見てください」と言われたという。男性は「こんな近くで、まさかと思った。もし犯人ならしっかり罪を償ってほしい」と語った。

 ●周辺住民●

 マンションと幸満ちゃんの遺体が見つかった現場との距離は約100メートル。近くに住む無職男性(61)は犬の散歩途中、男が警察車両に乗り込むのを見て「事件に関係しているんだな」と感じたという。帰宅途中、男性はジュースや菓子が供えられている現場で「ゆっくり眠ってください」と手を合わせた。男性は「近所では人通りも減っていた。これで安心できる街に戻ってほしい」と話した。

 現場近くに住む会社員、尾高政浩さん(39)には、幸満ちゃんと同じ年の5歳の長女がいる。「同じ年齢の子がああいう形で亡くなってしまい、衝撃だった。事件以来、子供を遊ばせるのは家の周辺だけで、親がつきっきりだった。なぜあんな事件が起こってしまったのか知りたい」と表情をこわばらせた。

 ●病院●

 6日午前10時すぎ、成田幸満(ゆきまろ)ちゃんの母多恵子さん(38)が勤務する東金中央クリニックに来た幸満ちゃんの祖母は「今来たばかりですのでまだ何も分かりません。詳しく分かりましたらまたお話しします」と丁重に話した。

 院長は幸満ちゃんの祖父。診察を受けた女性患者によると、院長は窓から空を眺め、上空の報道ヘリを見つめていた。診察は穏やかな表情だったという。また、多恵子さんも、普段通り出勤していた。

 ●保育所●   

 幸満ちゃんが通っていた東金市立第一保育所ではこの日、園児の発表会が開かれ、合唱や寸劇が披露された。

 本来なら一緒に舞台に立つはずだった幸満ちゃんの姿はなく、同じクラスに男児(5)を預ける祖母(74)は「何とも言えない気持ち。仮に犯人が捕まっても幸満ちゃんは帰ってこない。なんでこんなことをするんだろう」と胸を押さえ、悲しげに目を伏せた。

 出席者によると、発表会の開会前、所長は「いろいろありましたが、今日は楽しくやりましょう」とあいさつし、事件には触れなかったという。

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