記事登録
2008年12月06日(土) 15時27分

司法解剖「理解」2割弱=「説明なし」、怒りや悲しみ助長−遺族対応改善へ・東大時事通信

 犯罪などで死亡した人の司法解剖について、内容や手続きを理解して臨んだ遺族は2割弱にとどまることが、東大法医学教室の遺族調査で分かった。解剖理由の説明がなかったとの声が多く、解剖で怒りや悲しみが強くなった人が4割に上った。
 都内で開かれた日本賠償科学会の研究会で6日、発表した。同教室は、司法解剖の意義や流れを説明するパンフレットを作成。希望する遺族には、捜査に差し支えない範囲で解剖した医師が結果を説明する方針を決めた。
 同教室は今年2月から11月にかけて、全国で司法解剖の対象となった人の遺族に調査票を送付、126人が回答した。解剖前の説明で「十分納得・理解できた」人は18.7%で、約7割は「よく分からない」「納得いかない」ままだった。
 解剖後、死因の説明は「警察官から」が最多の65.2%で、解剖した執刀医からは13.0%。8割以上の人が「執刀医から説明を受けたい」と考えていた。詳細な解剖結果は約6割がその後も知らされておらず、解剖を行ったことで怒りや悲しみが強くなった人は41.9%、和らいだ人は10.3%だった。
 自由記述では「説明じゃなく強制」「解剖する理由を説明してほしかった」と納得できない心情の記載が目立ち、「(解剖は)遺族に精神的にも経済的にもさらなる打撃を与え、被害回復を遅らせる」との記述もあった。
 一方、「原因を究明し加害者に責任を取ってもらえた」「死因を明確にできた」との声もあった。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081206-00000083-jij-soci