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2008年12月05日(金) 13時01分

裁判員制度:視聴覚障害者も裁判員に、全盲弁護士が講演−−あす日野で /東京毎日新聞

 ◇周囲の援助と理解必要/「欠格」に明確な基準を
 来年5月に始まる裁判員制度について、全盲の弁護士、大胡田(おおごだ)誠さん(31)が6日、日野市生活保健センター(日野本町1)で障害者の観点から講演する。目や耳の不自由な人たちも裁判員に選ばれる可能性があるが、大胡田さんは「周囲の人たちの援助と理解があれば、目が不自由でも弁護士や裁判員が務まることを知ってもらいたい」と話している。【内橋寿明】
 大胡田さんは5度目の挑戦で06年の司法試験に合格し、弁護士業務は1年目。これまでに点字の司法試験に合格した全盲の弁護士3人のうちの1人だ。普段の裁判資料はパソコンの音声変換ソフトを使ったり、助手に朗読してもらったりして理解するという。
 裁判員法では、裁判員の欠格事由の一つに「心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある人」と定めているが、目や耳の不自由な人が無条件にあてはまるわけではなく、裁判員として法廷に出る可能性がある。ただ、欠格となるかどうかは個々のケースに委ねられており、大胡田さんは「明確な基準がないと、障害者の裁判員参加への門戸が狭められる可能性もある」と指摘する。
 東京地裁では8月、目の不自由な人が裁判員に選ばれたケースを想定した模擬裁判があった。酒飲み友達をナイフで殺害したという事件で殺意の有無を争ったが、傷の位置を示した人体図や事件直後の現場写真を、検事や弁護士が言葉で説明したという。
 この模擬裁判に立ち会った大胡田さんは「図や写真の説明は分かりやすかったが、文書での資料は読み上げるだけでなく、点字で配布してほしかった」と注文を付ける。
 大胡田さんは、自身が裁判員裁判の被告弁護士を務める場合を想定した模擬裁判にも参加。「短期間に手続きが集中する公判前の手続きが大変だった」と振り返った。
 ◇DVD上映も
 講演は日野市民人権フォーラム実行委員会の主催で、午後1時半〜4時半、入場無料。併せて裁判員制度を解説したDVD「審理」(60分)を上映する。大胡田さんは普段の弁護士活動にも触れる。

12月5日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000098-mailo-l13