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2008年12月05日(金) 23時19分

石原伸晃幹事長代理「麻生政権はがけっぷち」産経新聞

 内閣支持率が急落し、求心力低下にさらされる麻生太郎首相に対して、自民党から公然と反発の声が噴き出している。執行部の一角の石原伸晃幹事長代理が5日、自身のパーティーで「麻生政権はがけっぷち」と述べ、小池百合子元防衛相も民放CS番組で「来年あたりは新党がぽこぽこできるかもしれない」と語った。次期衆院選を前に「麻生降ろし」や自民党に見切りをつけた議員の「離党=新党結成」が出てきてもおかしくない−との見方が党内で広がってきた。

 ◆倒閣宣言?

 「えっ、これは倒閣宣言なのか」

 自民党若手は5日昼、次のように語る石原氏のあいさつに耳を疑った。

 「自民党議員の7割から8割が『麻生政権で選挙をやって与党でいられるのか』と疑問を持っている。自民党はがけっぷちだ。麻生政権もがけっぷちかもしれない」

 幹事長代理という要職の幹部が首相を酷評するのは異例。石原氏は首相と距離を置く山崎拓元副総裁が派閥会長の山崎派メンバーだ。山崎氏は「石原さんは将来の総裁候補と大いに認知されている。節目節目で決断と実行のできる政治家だ」とあいさつした。

 これに対し、細田博之幹事長は「石原総裁実現に向けて頑張ろう」と持ち上げつつ、「その前に(麻生)政権を失ってはならない」と述べたが、石原氏の発言を抑えられなかった。

 首相は5日夜、首相官邸で記者団から石原発言を問われ、「内容を聞いてないから分からん」とだけ語った。

 一方、中川秀直元幹事長と近い小池氏はCS番組で「自民党は小泉政権の時にあれだけ大きな変革を遂げたのに後戻りしようとしている」と麻生政権を批判。「私は新党作りには疲れている」としながらも「新党ぽこぽこ」と、自民党大乱を予言してみせた。

 ◆第三極

 「自民でも民主でもない第三極が必要なんだ」

 先月下旬、都内で親族の結婚式に出席した自民党の後藤田正純衆院議員は、財界人らが新党論で盛り上がっているのに驚いた。

 話の輪に入ると「自民は賞味期限切れ。民主も未成熟だ」という声ばかり。新党党首に渡辺喜美元行革担当相の名があがった。

 後藤田氏は1日のBS番組で「首相は自分の力を過信した。自民党は新体制と旧体制の綱引きが限界に達している。衆院選前にも再編があり得る」と、渡辺氏とともに新党の可能性に言及した。後藤田氏は、衆院高知1区で出馬する橋本大二郎前高知県知事や一部の民主党議員と接触、第三極結集を模索しているとされる。

 その後藤田氏が総裁選で推した与謝野馨経済財政担当相は11月のある日、中川氏とマージャンを楽しんだ。経済政策をめぐって犬猿の仲だっただけに「政局を話し合ったのか」(幹部)との観測も出ている。

 また、活動を活発化しているのが加藤紘一元幹事長と山崎氏だ。国民新党の亀井静香代表代行や民主党の菅直人代表代行らと情報交換の会合を行っている。

 こうした自民党の「反麻生」勢力は結束には至っていない。「まとめ役、リーダーがいない」(リベラル系中堅)ためだ。だが、それがかえって党内の疑心暗鬼を深めている。

 一方、公明党幹部は5日、石原氏を「執行部なのにバカじゃないか」と批判。自民党の安倍晋三元首相は同日夜、福島県相馬市で講演し、「世の中は麻生政権への悪口で満ちており、わが党からも平気で悪口をいう人が出ている。本当に情けない。求められるのは結束だ」と述べた。

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