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2008年12月05日(金) 23時12分

「麻生降ろし」かなわず自民に漂泊感、新党・再編…読売新聞

 「一緒に世の中を良くしていきませんか」

 11月末、自民党の中川秀直・元幹事長は町村派議員に語りかけた。12月中旬に発足させる社会保障制度改革の議員連盟への誘いだ。

 9月の自民党総裁選で、中川氏は麻生氏に対抗して小池百合子・元防衛相を担いだが、得票は46票にとどまり大敗した。「首相失速を、中川氏は復権のチャンスと見たのだろう」という指摘が出ている。議連には、小池氏や、首相批判を繰り返す渡辺喜美・元行政改革相らが参加し、「反麻生」グループとの観測も出ている。

 渡辺氏や塩崎恭久・元官房長官、茂木敏充・前行政改革相らは、景気対策の2008年度第2次補正予算案の今国会提出を求めた。「解散しない、2次補正も出さない。逃げてばかりじゃ、支持率がガタ減りするのは当たり前だ」と渡辺氏は言う。

 ◆造反計画?民主との接触情報◆

 道路特定財源の一般財源化を求める棚橋泰文・元科学技術相ら中堅・若手議員の会も声を上げ始めた。麻生首相や与党幹部が、使途を道路整備など公共事業に限った新型交付金で一致したことに反対し、4日、河村官房長官に再考を求めた。メンバーの一人は「このままでは、関連法案の採決で造反せざるを得ない」と語った。

 自民党の加藤紘一・元幹事長、山崎拓・前副総裁は新党を視野に動き始めている。

 政界関係者によると、加藤、山崎両氏は10月、国民新党の亀井静香・代表代行の仲介で、民主党の小沢代表と会談。小沢氏は「新党を作るなら、衆院選前に言ってきてほしい」と告げたという。加藤氏らは会談について語らないが、「新党と、民主党候補と競合しないよう調整できないか、加藤氏らは小沢氏の感触を探ろうとしたのではないか」との見方が出ている。

 加藤氏は周囲に、「ねじれ国会は与党と民主党が対立し、機能不全になっている。各党を結び付ける役目を担う新党ができないか」と漏らしている。党名の腹案は、「新党結(ゆい)」という。

 ◆沈没船から逃げ出そうとする…◆

 麻生首相は失言を続け、政府にも与党にも司令塔が不在。年末の予算編成も混乱が続いており、「政権は、はや末期症状」との指摘が出ている。

 しかし、安倍元首相、福田前首相と1年で政権を放り出すように辞めた。もはや、「麻生降ろし」で首相の首をすげ替えて、党の延命を図る手も使えない。自民党議員に強い遠心力が働いているのはそのためだ。公明党議員は4日、「今の自民党議員の姿は、船が沈没しそうになったら逃げ出そうとするネズミみたいなものだ」と語った。

 自民、公明両党の衆院議員は335人。自民党から17人が離党したり、離党しないまでも法案採決で造反すれば、衆院の3分の2の多数で再可決できなくなり、国会運営は行き詰まる。首相周辺は「そうなれば、衆院解散だ」とけん制し、引き締めに懸命だ。

 もっとも、自民党離党後の展望を描くのは簡単ではない。

 選挙前に新党を作るとしても、早すぎれば鮮度を失う。今の小選挙区比例代表並立制は大政党に有利な仕組みだ。小選挙区はもとより、仮に落選しても、惜敗率で比例選で救われる可能性もある。

 中川氏は将来のシナリオをこう描いているという。

 〈衆院選で自民、民主両党とも過半数に届かない場合、中川グループと民主党の一部が合流して新党を作り、キャスチングボートを握る〉

 しかし、仮に民主党が単独過半数を取れば、このシナリオは破綻(はたん)する。「勝ち組」の民主党に、党を割る動きが出る確率も高くない。

 ◆政治家と評論家の違い◆

 中川氏の議連が扱う「社会保障」や、加藤氏らが掲げる「リベラル」「アジア外交重視」などは、党の垣根を越え、民主党と接点を探るキーワードでもある。

 小池氏は5日、朝日ニュースターの番組収録で議連に関して、「新しい年金制度をどう構築するか、政権が代わったら制度も変わるということでは持たない」と強調した。また、「来年あたりは新党とか、ぽこぽこ出来るかもしれない」と指摘。ただ、「私はもう新党作りは疲れていますから」とも語った。

 与謝野経済財政相が掲げる「財政再建」も、与野党を超えた取り組みが必要だ。

 2000年11月、加藤、山崎両氏は、野党提出の森内閣不信任決議案に同調しようとしたが、党執行部の切り崩しで失敗に終わった。「加藤の乱」から8年余。乱は起こるのか。亀井氏は4日の講演でけしかけた。

 「加藤氏は『自民党は賞味期限が切れた』なんて言うが、政治家がそう判断した場合は勇気を出してやらないといけない。評論家なら別だが」

 〈連載「混沌政局」麻生政権迷走(中)〉

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000075-yom-pol