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2008年12月05日(金) 11時53分

ビッグ3公聴会で支援要請 GM・クライスラー合併再検討産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】経営危機に直面したビッグスリー(米自動車3大メーカー)の首脳は4日、米上院銀行委員会で証言し、総額340億ドルの緊急融資の早期実現を訴えた。再建の可能性をめぐり、議員から厳しい質問が相次いだが、首脳らは融資の条件として、3社の経営を監視する委員会設置を受け入れると表明。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは融資が承認されれば、コスト削減のため両社の合併を再検討する考えも示した。

 ワゴナー会長は冒頭「われわれが今日ここにいるのは、過ちを犯したからだ」と述べ、低燃費車投入が遅れた経営ミスを認めたうえで、総額180億ドルの融資を求めた。

 全米自動車労組(UAW)のゲトルフィンガー委員長は「月末までに政府の支援策がなければ、われわれはGMを失ってしまう」と述べ、人件費削減のため労働協約見直しに応じる姿勢を改めて示した。

 3首脳は先月の公聴会で明確な再建の道筋を示せず、議会の説得に失敗し、再建計画を2日に議会へ提出したばかり。政府融資の適切な活用と再建状況を監視する独立委員会の設置を求める議員の声に、3首脳とも同意した。

 また、経営危機が深刻なGMとクライスラーに対して、経営効率化のために一部議員から合併を迫る声も上った。両社は一時合併を検討したが、9月以降の資金繰り悪化で交渉を中止した経緯がある。ワゴナー会長ら両首脳は「真剣に検討したいと思う」と述べ、融資が実現した後に交渉を再開させる考えを示唆した。

 一方、ドッド委員長(民主)は緊急融資を支持する考えを表明したうえで、金融安定化法の公的資金枠の活用や連邦準備制度理事会(FRB)を通じた金融支援を模索しているとした。

 ただし、共和党の一部は「再建の可能性に疑問がある」(シェルビー議員)として、連邦破産法適用申請による再建を主張。首脳らは「破(は)綻(たん)は選択肢にない」(ワゴナー会長)と改めて強調した。公聴会は5日も米下院で開かれる。

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