記事登録
2008年12月05日(金) 10時48分

<ビッグ3公聴会>格付け会社「破綻回避750億ドル必要」毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米上院銀行委員会は4日、米自動車大手3社(ビッグ3)の首脳らが出席して340億ドル(約3兆2000億円)の公的支援についての公聴会を再開した。ゼネラル・モーターズ(GM)のリック・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)は「低燃費車への投資が遅れるなど、我々の経営には誤りがあった」と認めた上で「年末までに40億ドル、来年1月にも別に40億ドルがどうしても必要になる」と窮状を訴えた。

 公聴会にはフォード・モーターのムラリー社長兼CEO、クライスラーのナルデリ会長兼CEOらも出席。11月の公聴会で批判の的になった自家用ジェット機によるワシントン入りを避け、今回は各社首脳とも自社製のハイブリッド車などで、ミシガン州から800キロ超の距離を10時間以上かけてワシントンに入った。

 GMとの合併について問われたナルデリ会長は「実現すれば80億〜100億ドルの経費削減効果がある」と前向きな姿勢を見せた。ワゴナー会長も「支援が得られるなら、合併を真剣に検討する用意がある」と表明した。

 公聴会では、ドッド委員長(民主)が「自動車大手の破綻(はたん)はあらゆる産業に影響を与える。何もしないことは解決策にはならない」と述べるなど、支援に前向きな姿勢を見せた。しかし、共和党からはビッグ3の求める支援額がわずか2週間で250億ドルから340億ドルに引き上げられたことへの批判が相次ぎ、シェルビー議員は「失敗した経営モデルを数カ月間延命するだけの公的資金では困る。どのように納税者に返済するつもりなのか、きちんと説明してほしい」と追及。救済に反対する姿勢を鮮明にした。米CNNテレビの調査によると、国民の61%が公的資金でのビッグ3救済に反対しており、世論の風当たりの強さは変わっていない。

 また、格付け会社ムーディーズのマーク・ザンディ氏は「ビッグ3の破綻回避には750億〜1250億ドルの資金が必要」と証言。3社の求めた340億ドルでは「明らかに足りない」と指摘した。3社の首脳は5日には下院金融サービス委員会で証言する。

【関連ニュース】
米上院:ビッグ3支援審議の公聴会再開 下院は5日に
ビッグ3:支援3兆円要請 再建策提出
米GM:180億ドルの融資要請 経営再建計画提出
ビッグ3:厳冬デトロイト 商店閉まりコックも解雇
北米国際自動車ショー:日本メーカー3社、出展見送り

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081205-00000033-mai-bus_all