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2008年12月04日(木) 03時09分

作業着に山口さん夫妻の血液、小泉容疑者のDNAも読売新聞

 元厚生次官宅襲撃事件で、銃刀法違反容疑で逮捕された小泉毅容疑者(46)が出頭に使った車から押収された作業着の付着物から、さいたま市南区の自宅で殺害された山口剛彦さん(66)夫妻のDNAのほか、小泉容疑者のDNAも検出されたことがわかった。

 小泉容疑者は夫妻殺害とともに、東京都中野区の吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)襲撃も認める上申書を警視庁と埼玉県警の共同捜査本部に提出しており、捜査本部は4日、両事件の実行犯として、同容疑者を殺人と殺人未遂の両容疑で再逮捕する。

 同日、身柄を警視庁から同県警浦和署に移し、殺害時の詳しい状況や動機の解明を進める方針。

 捜査幹部によると、小泉容疑者が先月22日夜、警視庁に出頭した時に使った軽乗用車からは、ナイフなど刃物10本や作業着、靴、段ボールなどが押収された。

 このうち、宅配便業者を装うために着用したとみられる作業着から、血液などの付着物が採取され、捜査本部が鑑定したところ、血液のDNAが山口さん夫妻のものと一致したほか、別の付着物のDNAが小泉容疑者のものと判明した。捜査本部は、小泉容疑者がこの作業着を着て、夫妻を殺害したことを裏付ける有力な物証とみている。また、10本の刃物のうち、柳刃包丁などに付いた血液が、DNAから靖子さんの血液と確認されたという。

 小泉容疑者は山口さん夫妻の殺害や靖子さん襲撃の時の模様を具体的に供述する一方、動機については「犬の敵討ち」といった不可解な供述を続けている。検察当局では、来年5月に施行される裁判員制度を見据え、動機に不可解な点がある重大事件では起訴前に幅広く精神鑑定を行うことにしており、今回の事件でも正式鑑定のための鑑定留置を請求する方針。

 少なくとも1か月以上の期間を要する鑑定留置を実施すると、全捜査の終結までかなりの期間を要するとみられる。このため捜査本部は、山口さん夫妻殺害事件の殺人容疑で再逮捕した後、靖子さんを襲った殺人未遂容疑を立件するとした捜査方針を転換。両事件を一括捜査し、早期の全容解明を目指すことにした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081204-00000009-yom-soci