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2008年12月04日(木) 18時59分

WSJ-グーグル、緊縮経営に着手=1ダウ・ジョーンズ

カリフォルニア州マウンテンビュー(ウォール・ストリート・ジャーナル)緊縮経営が、好況期に最も気前よく支出していた企業のひとつにも及ぼうとしている。米グーグル(Nasdaq:GOOG)が支出の抑制を始めた。

グーグルは、その10年の歴史の大半の期間に、シリコンバレーの驚異とも言えるペースで資金を使った。千人単位で人員を採用し、1日3食の無料の食事や無料の診察、スキー旅行、ランドリー設備、個人研修の助成など、手厚い社員特典を提供した。同社は技術者がひいきのプロジェクトに時間の20%を割くのを許可してきた。その目的は、オンライン検索に連動した広告の販売にほぼ100%依存している状況を軽減することだ。

だが、売り上げの伸びは過去1年間で劇的に鈍化した。ネット決済サービス「グーグル・チェックアウト」やテレビの広告枠を販売する「グーグルTVアド」などの商品はこれといった収入を生み出さず、グーグルの売り上げ全体の97%を依然としてオンライン広告が占めている。グーグル株の2日終値は275.11ドル。2007年11月につけた終値ベースの過去最高値(741.79ドル)を50%以上も下回った。

米経済がリセッション(景気後退)入りするなかで、グーグルは支出を抑制し、新規プロジェクトを削減している。エリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は、何が起こるかは「わからないが、態度を引き締める必要がある」と述べた。また、グーグルは「それほど当たらなかった」プロジェクトを減らし、今後は特定の実験プロジェクトで1人のエンジニアに20人の人員を「割り当てることはない」と言明。「サイクルが戻ってくれば、優れた構想に資金を出すこともでるよういなるだろう」と語った。

グーグルは先月、検索結果を体系化する新たな方法の実験に使用していたウェブサイト「サーチマッシュ」を打ち切った。今月は、ネットユーザーがキャラクターや部屋を作り、そのなかで過ごすことができる“仮想世界”の「ライブリー」も同様に閉鎖する予定だ。ライブリーは今夏立ち上げたばかり。グーグルは「われわれの資源に優先順位をつけ、当社の中核である検索、広告、アップス(アプリケーション)の各事業により集中させる」意向、と説明した。

グーグルは、より多くの収入を生み出すため、広告を掲載しないで提供している一部のウェブサービスの慣行も見直している。同社は11月17日に、金融ニュースサイト「グーグル・ファイナンス」での広告掲載を始めた。また、間もなく「グーグル・ニュース」のサイトでも一部のユーザーに対する広告の表示を開始する予定、としている。

長年続いたグーグルの急成長は、ほぼ全面的にただひとつの事業がけん引してきた。同社のネット検索エンジンが自動的に次々と生成する検索広告(検索結果の横に表示される小さいテキスト広告)だ。グーグルは、その猛烈な成長が永遠に続くわけではないことに気づいたが、今のところ大きな収入源になりそうな新事業を打ち出すには至っていない。

ハーバード・ビジネススクールのトーマス・アイゼンマン教授は「“千花斉放”させ、その多くが行き詰るのに任せるというやり方は、これまではうまく機能した。だが、あらゆるメディアで有力な広告ネットワークになりたいと思えば、一層のトップダウン経営が必要」と指摘した。

グーグルの幹部らは、1年以上前に成長鈍化への準備を始めた、としている。だが、経済危機がその取り組みの強化を迫っている。

ここ数週間で、シュミットCEOはどの分野に投資の照準を絞るかを決定する幹部ミーティングを開いた。最優先分野とされたのは、ウェブサイトに表示される、グラフィックを利用したディスプレー広告、携帯電話機向けの広告、オンラインのビジネスソフトウエアなど。

(続く)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081204-00000025-dwj-biz