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2008年12月04日(木) 22時42分

厚生年金、戸別訪問調査で56%「改竄されている」産経新聞

 厚生年金記録の改竄(かいざん)問題について、社会保険庁は4日、戸別訪問調査ができた2524人のうち、56%にあたる1408人が「記録が改竄されている」と回答していたことを明らかにした。回答者の10%の140人が社保庁職員の関与を指摘、このうち25人は具体的な職員名などを挙げた。今回明るみに出た事例のほとんどが、社保庁職員側が虚偽の届け出書類を作成したり、事業主に虚偽記載のやり方を教える悪質な手口だったことも分かった。

 舛添要一厚生労働相は同日、記者団に対し「具体性を持っているものが25件もあるのだから、深刻に受け止めないといけない」と述べ、被害者救済とともに、関与した職員を厳正処分する考えを示した。

 社保庁は、被害者救済を急ぐため、従業員が対象の定型的ケースについては、総務省の年金記録確認第三者委員会に申し立てなくても、社保事務所で訂正する方針だ。

 戸別訪問調査は、社保庁のオンライン記録の中で、標準報酬月額(月収)引き下げ処理とほぼ同時に厚生年金脱退処理も行われるなど、改竄の疑いが強い約6万9000件のうち、年金受給者2万2255人を対象に10月から順次実施している。今回は11月9日までに訪問できた2524人分の調査結果を公表した。

 改竄の有無について確認したところ、56%にあたる1408人が改竄されていると回答。「記録は正しい」との回答も836人(33%)あった。残りの280人(11%)は「分からない」と答えた。

 ただ、改竄されていると回答した1408人のうち記録訂正希望者は半分の685人にとどまり、3割の437人は希望しなかった。改竄されていると回答した従業員の62%が訂正希望なのに対し、事業主は38%しか希望していないことなどから、社保庁は「事業主自らが改竄に関わったり、記録訂正すると保険料納付を求められることを懸念したためではないか」と分析している。社保庁側の作業の遅れで実際に記録が訂正された人はいない。

 訪問できた2524人のうち、改竄が疑われる時期に会社の事業主だった人が1107人(44%)と最も多く、次いで従業員795人(31%)、役員568人(23%)−の順。社保庁職員の関与を証言した140人の大半は会社経営に携わる事業主や役員で、従業員は7人だけだった。

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