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2008年12月04日(木) 15時00分

<元次官宅襲撃>小泉容疑者「官僚の妻も階級社会」毎日新聞

 元厚生事務次官宅連続襲撃事件で、小泉毅(たけし)容疑者(46)=銃刀法違反容疑で逮捕=が、さいたま市の山口剛彦さん(66)の妻美知子さん(61)など家族まで殺傷した動機について「官僚の妻までヒエラルキー(階級制)を形成している」などと供述していることを、警視庁と埼玉県警の共同捜査本部関係者が明らかにした。小泉容疑者が飼い犬に執着していなかったとの情報も得ているという。捜査本部は4日午後、山口さん夫婦などに対する殺人、殺人未遂容疑で逮捕し、不可解な動機の解明を図る。

 ◇「守屋前次官夫人が」

 捜査本部によると、小泉容疑者は「防衛汚職で逮捕された守屋武昌前防衛事務次官を巡る報道を見ていて、守屋前次官の妻も(防衛省幹部の妻らでつくる)夫人会を結成し、ヒエラルキーを作っているのが許せなかった」などと供述しているという。

 守屋前次官は07年11月、東京地検特捜部が防衛装備品を巡る収賄容疑で逮捕した。その捜査の過程で、前次官の妻らが、防衛官僚の妻たちで親睦(しんぼく)組織を作り、前次官の妻まで贈賄業者から接待を受けていたことが問題になった。

 小泉容疑者は、山口美知子さんを殺害したほか、東京都中野区の吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)に重傷を負わせた。捜査本部は、官僚に一方的な憎悪を募らせていた小泉容疑者が、家族にもゆがんだ感情を抱いていたとみている。

 ◇「犬動機と思えず」

 「小学生時代に実家で飼っていた愛犬『チロ』を保健所に処分された仇(あだ)討ちだった」

 小泉容疑者は先月22日の出頭以来、同じ説明を続けている。チロの話になると涙ぐみ、「決起なので悔いはない」と話すという。

 ところが、捜査本部関係者によると、親族らの話で、小学生時代の74年4月に保健所で処分されたチロの後にもう1匹の飼い犬がいたが執着していた様子はなかったという。チロについても、父親と保健所に出向いた際に処分されていたと供述していたが、引き取りに行ったのは実際は祖母らで、小泉容疑者は「学校があるから」との理由で行かなかったとの情報があるという。毎日新聞の取材に対し、父親も「それほど落胆していなかった。犬が動機とは思えない」と話している。

 ある捜査幹部は「チロの話は後付けではないか。投げやりになり八つ当たり的に襲撃した自分への言い訳ではないか」と話している。【佐々木洋、古関俊樹、神澤龍二】

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