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2008年12月04日(木) 20時57分

【総連事件公判】「調べで言ったことアヤフヤだった」満井被告認める産経新聞

 《平成19年当時に満井忠男被告と緒方重威(しげたけ)被告が進めていた東京・六本木の通称「TSKビル」の地上げ。検察側は、満井被告らがこの時期、TSKビルの2室を買い取って転売し多額の売却益を得るため、買い取り交渉の資金として1〜2億円必要としていたとみている。朝鮮総連から現金を詐取した動機の一つも、この資金のためだったという見方をしている》

 検察官「最終的に2室の買い取り価格はいくらだったのですか?」

 満井被告「25億円だったと思います」

 検察官「この2室はどうしようと考えたのですか」

 満井被告「TSKビルの地上げというか用地買収の一環で…。東京都内の商社社長が買い取ると…」 

 《満井被告は「地上げ」という言葉を発するのをためらい、用語を「用地買収」と訂正した》

 検察官「転売益はいくらの予定でしたか」

 満井被告「5億円です」

 《予定された閉廷時刻午後5時15分をもう10分以上過ぎている。林正彦裁判長が『そろそろ、きりがよいところで』と質問終了を促したが、検察官は延長を申し出た》

 検察官「地上げ交渉にかかわっていた空手団体総裁から『1億円を持ってこい』といわれ、満井被告はどうしましたか」

 満井被告「『総裁に1億円預けるのはどうかな』と(不安に)思いました」

 《総裁が要求した「1億円」とは、地上げが確実に進められると交渉相手に信じさせるため、相手に見せる「見せ金」のこと。総連から引き出した4億8400万円のうち、緒方被告にわたった1億円は、この見せ金としても使われた》

 検察官「1億円の話ですが、なぜ(すぐ)要求通りに渡さなかったのですか」

 満井被告「(見せ金の行為が)確か(に行われる)か分からなかったので」

 検察官「捜査では、この点について何と供述したか覚えていますか?」

 満井被告「平成19年5月17日の夜、急きょ電話があって、『大至急検討する』と答えました(と話しました)」

 検察官「そういう意味ではなくて、なぜ、要求通りに1億円を渡さなかったかどうか。理由についてです」

 満井被告「緒方さんの預かり金として…」

 《満井被告の回答は要領を得ない》

 検察官「供述調書によれば、『総裁の性格が分かっているから、(1億円を)渡せば返還を拒否するので』と言っていますが」

 満井被告「そこまでは言っていませんが、(取り調べに当たった)検事から『そういうことがあったのか』と質問があり、強く逆らいませんでした」

 検察官「事実ということでよいですか?」

 満井被告「私は、そう極端には言っていないと…」

 《満井被告は質問を大筋で認めつつ、あくまで、取り調べ調書は不正確だといいたげだ。検察官は語気を少し強めた》

 検察官「5月18日、預かり証を作成した際、緒方被告に3000万円を渡したのはなぜですか?」

 満井被告「緒方被告に1億円を預けているから、それで良かったのですが、何となく、『格好がよくならないな』と思い、理屈もなしに預けました」

 検察官「調書では『(実際に緒方被告に)1円も預けずに、預かり証を発行するのは気が引ける』とありますが、そうではないのですか。平成19年8月5日の調書には、そう書いてありますが」

 満井被告「いや、調書を読みますと…」

 検察官「違うのですか」

 満井被告「違います」

 《満井被告は供述調書の内容を否定した》

 検察官「これまでの調書では、TSKビルの売買が進まず、契約書を取り交わしてもメドが立たず、空手団体総裁からも連絡がなくなったとありますが」

 満井被告「今の話は事実です。ただ、それ以外にも調書には書いてあります。取り調べで言ったことはありましたが、よくよく事実かというとアヤフヤだったと…」

 《満井被告は、自ら説明がアヤフヤだったと認めてしまった。予定の閉廷時刻を25分近く過ぎており、検察官はここで質問をやめた。次回は12月11日午後1時15分から、満井被告の取り調べにあたった検事の証人尋問と、満井被告の被告人質問を行う予定だ》

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