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2008年12月04日(木) 20時02分

【総連事件公判(10)】「本当に断腸の思い」動揺隠せない満井被告産経新聞

 《満井忠男被告が朝鮮総連から引き出した4億8400万円の使途について、検察側が質問を繰り返している。緒方被告に渡った1億円について、満井被告は「知人の韓国人に返すため預けた」と説明しているが、「返済ではなく、緒方被告への詐取金の分配」とする検察側は、説明の矛盾点を浮き彫りにしようと、厳しい質問をした》

 検察官「あなたは、朝鮮総連側から受け取った金のうち、(韓国人へ)金を返すため、まずは3000万円を流用して緒方被告の口座に入れたと話していましたね?」

 満井被告「はい」

 検察官「わざわざ流用してまで、返さなくてもよかったのではないですか?」

 満井被告「流用しても、すぐに返すつもりだったんです。私も、事件になって逮捕されるという事態は想定していなかったんです」

 検察官「それではうかがいます。そもそも、緒方被告を介した1億円の借入金は、帳簿を操作して作りだしたものなんじゃないんですか。本当は借入金なんかないのに返済を装って、緒方被告の口座に1億円を送金するため、帳簿を操作したのではないですか?」

 満井被告「違います」

 検察官「そうですか。あなたは、緒方被告以外の人にも2億円を借りていましたよね」

 満井被告「はい」

 検察官「(満井被告が実質経営する会社「医療電子科学研究所」の平成19年)4月決算までに、緒方被告には1億円を返済したのに、その人にはまったく返していなかったんですか?」

 満井被告「2億円を借りた人には、『私が肩代わりする』と約束していたんです。決算上も、4月末までにどうにかするつもりでしたが、そのうちに事件だとか逮捕だとかという騒ぎになって、宙ぶらりんになってですね…」

 検察官「そうですか」

 満井被告「押収書類にもあると思いますが、肩代わりするということは、書類でも示しています。それに基づいて作業は進んでいたんです」

 検察官「では聞きますが、その人に2億円を返済すれば、見返りにその人(が保有する医療電子の)株が割り当てられるという約束だったんですよね。そうすれば、その株を○さん(知人の韓国人の実名)に割り当てることも出来るので、緒方被告に1億円を返すより、その人に少しでも返済した方が良かったんではないですか。なぜ緒方被告を優先したんですか?」

 満井被告「2億円を借りていた人には…、金利を払うことで了承してもらっていたんで…」

 《「なぜ緒方被告を優先したのか」という問いに、満井被告は以前の法廷でもした説明を繰り返すが、検察側は納得しない。しびれを切らした検察官が、呆れたように質問する》

 検察官「ですからね、何度も聞いて申し訳ないんですけどね、私が聞いているのは2億円を返した人を優先してお金を返したほうが良かったのに、なぜ優先しなかったのかと聞いているんです」

 満井被告「私は返済計画の流れを組み立てていて、それに沿って物事を進めようと思っていたのに、半ばで捜査が始まって流れが変わってしまったんです。思い通りに進まないのは、本当に…、本当に断腸の思いでした!」

 《身ぶり手ぶりを交え話す満井被告。検察官は「またか」というような表情を浮かべながら、次の質問に移った》

 検察官「ところで、あなたは平成15年ごろから緒方被告とともに、東京・六本木の通称『TSKビル』内の2室の買い取りを進めていましたね」

 満井被告「はい」

 検察官「19年1月には、仲介者の空手団体総裁から『買わないか』と持ちかけられたのでしたね」

 満井被告「はい」

 検察官「いくらで買わないかと持ちかけられたのですか」

 満井被告「15億円だったと思います」

 《質問は、検察側が「緒方、満井両被告が総連から4億8400万円をだまし取った動機の一つ」と主張するTSKビルの地上げに移った。これまでにも、何度も質問が繰り返されてきたが、検察側は、何度も同趣旨の質問を繰り返し、満井被告の矛盾点を鮮明にしようとする》

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