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2008年12月04日(木) 19時05分

【総連事件公判】かみ合わない満井被告の答えに検察官イライラ産経新聞

 《午後4時25分、法廷が再開した。緒方重威(しげたけ)被告に代わって、今度は満井忠男被告の被告人質問が始まる。裁判長に促されると、満井被告は一礼し、証言台に座った。まず質問に立ったのは検察官だ》

 検察官「平成19年5月25日に河江さん(浩司被告)が作った顛末書について質問します」

 《「顛末書」とは、朝鮮総連中央本部の売買資金を出資する投資家探しの状況をまとめたものだ》

 検察官「あなたは公判で『(顛末書を)チェックしたり、手を加えたりしたことはなく、この法廷に(証拠として)提出されるまでは見たことがなかった』と話していましたね?」

 満井被告「『この法廷に出るまで見たことがない』という表現があったとしたら、それは私の言い違いでした。私は…」

 《満井被告は説明を続けようとしたが、検察官が「もういいです」とさえぎった》

 検察官「5月25日、河江さんは顛末書をどこで作っていたか知っていますか」

 満井被告「私はこれまで(投資家探しを担当していた河江被告と総連側代理人の土屋公献弁護士、緒方重威被告の)仲介役をしていたが、(5月中の契約期限が迫ったため)時間的にタイトになっていたこともあり(河江被告に)『土屋先生、緒方先生にはあなたから直接連絡してください。書面にして報告してください』と河江さんに頼んだことはあります」

 検察官「質問には端的にお答えください」

 《答えが長くなりがちな満井被告に、検察官が釘を刺した》

 満井被告「河江さんが私の事務所で作ったのか、自分の事務所に持ち帰ったのかは分かりません。どこで(パソコンを)打ったのか、定かには確認しておりません」

 検察官「要は知らないということですね」

 《検察官は、緒方被告の自宅に届いた顛末書のFAXを示しながら、質問を続けた》

 検察官「ここに18時(午後6時)34分という送信時間が印字されています。顛末書は、医療電子(満井被告が実質的に支配していた会社「医療電子科学研究所」)の事務所から、緒方被告の自宅に送信されていますね」

 満井被告「そうですね」

 検察官「河江さんは、医療電子の事務所で(顛末書を)作成し、FAX送信をしています。あなたは(その日に)医療電子にいながら、知らなかったのですか?」

 満井被告「私はお客さんがあってバタバタしていましたし、(事務所の)外に出たこともありましたので」

 検察官「河江さんはそうすると、事務所で勝手に(顛末書を)作っていたのですか?」

 満井被告「河江さんはそのころ、うちの事務所にしょっちゅう出入りをしていましたので」

 《部外者にもかかわらず、河江被告が医療電子の事務所で作業をしていても不自然ではないと、満井被告は主張している》

 検察官「朝鮮総連から満井被告が受け取った計4億8400万円のうち、河江さんに計1億5000万円を渡したということでしたね? それぞれ5000万円ずつ(3回に分けて)。1回目は本件土地・建物の所有権移転登記の登録免許税として。2回目はブローカー(投資家候補を紹介した業者)への見せ金、3回目は登録免許税の(河江被告への)立て替え分としてでしょうか」

 満井被告「はい」

 検察官「この中から河江さんに報酬として計いくらを払った、と(取り調べで)供述したか覚えていますか」

 満井被告「えーっと…。1回目は登記料、2回目は彼(河江被告)が言うところの見せ金、3回目は再度、登記料ということになっていたので…」

 検察官「その経緯は、前回(の公判で)聞いています。供述を覚えているのか、いないのか。覚えていれば、金額だけ言ってください」

 《質問とかみ合わない答えに、検察官はうんざりした様子だ。見かねた裁判長も、満井被告に対して「検察官にどう話したか、という質問ですから」と注意し、的確に答えるように促した》

 満井被告「私の気持ちとしては、5000万円を渡しました」

 検察官「検察官にも、5000万と言ったのですか?」

 満井被告「私がそう言っても、調書には書かれていませんが」

 検察官「それはなぜですか?」

 満井被告「私の調書は全般的に…」

 検察官「もういいです」

 《言葉をさえぎり、検察官は、満井被告が日々の出来事を記したというノートのコピーを証言台に示した》

 検察官「5月31日のところに『河江が医療電子に来社して、登記料を出してほしいと言ったので…』と記載されています」

 満井被告「はい」

 検察官「1回目、2回目の1億円は河江さんの仲介手数料の前受け分、つまり報酬として渡したものではないんですか? ノートの記載と、あなたの法廷での供述が食い違っています」

 満井被告「私の認識では(1回目にあたる)4月24日に登記料として5000万。(2回目にあたる)5月28日は仲介業者への見せ金。ここまではその通りなんです。しかし、河江さんからまた『登記料を貸してくれ』と言われたもんだから…。河江さんが(3回目の)登記料を借りに来なかったら計1億円で終わっていた。でも…」

 検察官「そろそろよろしいですか」

 《満井被告は懸命に説明しようとするが、検察官は苦笑しながら打ち切った》

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