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2008年12月04日(木) 19時01分

【総連事件公判】ヒートアップする緒方被告、淡々と流す検事産経新聞

 《いったんはA検事への尋問を断った緒方重威(しげたけ)被告だが、居ても立ってもいられなくなったのか、自ら挙手をして尋問を要求、林正彦裁判長が許可した。約1年半前、東京拘置所の取調室で対峙(たいじ)した2人が、今度は法廷で“対決”。緒方被告は両手を体の前で組み、ゆっくりとした口調で質問を投げかけていった》

 緒方被告「あなたは、私の供述を待たないでパソコンをたたき、調書の原案を作りましたね?」

 A検事「いいえ。違います」

 緒方被告「さっき、そういう趣旨の証言をされましたよね?」

 A検事「供述を待たずにではありません」

 緒方被告「私は『認めるといっても事実を経験していないんだからね』と言うと、あなたは『緒方さんの供述はこうなるんですよ』と言って、パソコンをたたき出しましたよね」

 A検事「違います」

 《年齢でいうと3回り以上離れた“後輩”にあたるA検事を「あなた」と呼び冷静さを装う緒方被告。しかしA検事のぶっきらぼうな答えに対し、徐々に口調が荒くなってくる》

 緒方被告「少なくとも、そこははっきりしてくださいよ」

 A検事「いいえ。違います」

 緒方被告「いったん作成された供述調書の1部で、あなたが削除した部分があります。それはあなたが、本当は私がそんな供述をしていないと知っていたから(削除したの)ではないですか?」

 A検事「違います」

 緒方被告「普通、1回作成した供述調書は削除しませんよ。なぜ削除したのですか?」

 A検事「緒方被告の要求があったからです」

 緒方被告「調べた本人が聞いた供述でも、削除することがあるんですか?」

 A検事「ケース・バイ・ケースです」

 《被告人席で質問を続けいた緒方被告だが、ここで数歩、A検事が座る証言台の方へ近づいた。両手を大きく広げるジェスチャーを交えながら、さらにA検事につめよった》

 緒方被告「あなたの頭の中に(共犯の)満井忠男被告の供述がインプットされていて、断片的に私の調書に盛り込もうとしたのではないですか?」

 A検事「違います」

 緒方被告「事件の構図は承知のうえだったんでしょ?」

 A検事「違います」

 緒方被告「私を調べる前から、作り上げられた構図があったんでしょ?」

 A検事「ありません」

 緒方被告「あなたはですね〜、(朝鮮総連本部の売買取引で投資家として名前が挙げられた東京都内の航空ベンチャー会社社長)○○さん(実名)の取り調べもやってるんですよね?」

 A検事「はい」

 緒方被告「『○○さんはこう言ってるんだから、あなたの言うことはウソだ』と私に迫ったでしょう?」

 A検事「そういう言い方はしていません」

 緒方被告「じゃあ、どういう言い方だったと言うんですか!」

 A検事「『○○さんの言い分と違いますが、本当にそうなんですか?』と聞きました」

 緒方被告「そんなに穏やかじゃないでしょ?」

 A検事「私はいつも穏やかでした」

 緒方被告「私がいくら言っても『○○さんの供述が正しい』と言って聞き入れなかったじゃないですか。○○さんを調べた先入観のまま、私を調べたんです」

 《ここで裁判長に『終わります』と告げ、いったん被告人席に座った緒方被告。しかしすぐに『もう1点お願いします』と述べて質問を続行した。緒方被告は、航空ベンチャー社長が十数億のクレジットカード詐欺に関与し、民事裁判でも損害賠償を求める判決が出ていると主張。それを根拠に社長の供述は信用できないと訴えた》

 緒方被告「○○さんの証言がなぜ信用できるのか。どういう調査をしたのですか?」

 A検事「それは十分、吟味をしました」

 緒方被告「そうではなく、どういう人物像を描いていたか聞いているんです。(東京地検)特捜部全体で、あるいはあなた自身で、どういう人だと思っていたんですか?」

 A検事「トラブルがあることは認識していましたので、注意しながら事情を聴きました」

 《緒方被告自身による質問はここで終了した。冷静さを失った緒方被告に対し、終始、淡々と応じたA検事。2人のやり取りは、緒方被告の空振りに終わったという印象も持てた。続いて、3人の裁判官のうち、2人が順々にA検事に質問した》

 裁判官「緒方被告は平成19年7月18日に自供しましたが、翌19日には否認に転じたんですね。その理由について、緒方被告は何と説明していたのですか?」

 A検事「『(再逮捕時、東京地裁内での)拘留質問を待っているときに本を読んだ』ということで…」

 裁判官「それは先程、出た話ですね。それで緒方被告が『信念を貫く』と言ったというのは、どういう文脈だったのですか?」

 A検事「『認めて楽な道を進むことが恥ずかしくなったので、否認して信念を貫きます』と言いました」

 裁判官「証人が調書の原案を作成したという話が出ましたが、タイミングはいつだったのですか?」

 A検事「一通り被告人、緒方から話を聞いた後です」

 《これでA検事に対する証人尋問は終了し、15分間の休廷に入った》

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