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2008年12月04日(木) 18時51分

【総連事件公判】「私が聞いても否定されるだけ」…法廷でつぶやく緒方被告産経新聞

 《緒方重威(しげたけ)被告の弁護人は引き続き、取り調べを担当した検事に対し、緒方被告の供述調書の作成過程について問いただしていく。弁護人は、調書が恣意的に作成された可能性を浮き彫りにしようとするが、検事はことごとく否定した》

 緒方被告の弁護人「(平成19年)8月5日の取り調べ状況について聞きます。調書は夜に作成したのですね」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「午後の段階では作成できなかったのですか?」

 A検事「できませんでした」

 緒方被告の弁護人「午後は、満井(忠男)被告がどんなことを供述しているかを(緒方被告に)説明しながら、調書案を考えていたのではありませんか?」

 A検事「違います」

 緒方被告の弁護人「8月6日午後の取り調べで、『満井さんは自白していない。検事の説明と違う』と緒方被告から言われたことはありませんか?」

 A検事「ありません」

 緒方被告の弁護人「『(満井被告は)自白している。信じてくれ』などと(緒方被告に)言ったのではありませんか?」

 A検事「そういうやりとりは、ありません」

 《取り調べという密室での検事と緒方被告の攻防について、不当さを少しでも浮き彫りにしようと細かな質問を執拗に繰り出す弁護側。しかし、証人席のA検事は前を正面を見据えながら、短い言葉で否定し、取り調べ過程の正当さに自信をのぞかせた》

 《続いて、満井忠男被告の弁護人がA検事に質問する。満井被告が自白したとされる供述調書を前提に、A検事が先入観を持って緒方被告の調書を作成した可能性を指摘する》

 満井被告の弁護人「満井被告の自白調書があるのは知っていましたか?」

 A検事「はい」

 満井被告の弁護人「調書は読みましたか」

 A検事「はい」

 満井被告の弁護人「『満井被告が自白している』ということを緒方被告に話したことはありますか?」

 A検事「『共犯者の供述については教えません』という話をしましたが、取り調べの過程で緒方被告から『満井被告は(容疑を)認めているんですね。何と言っているんですか』と聞きてきたので、『認めている』ということは言いましたが、『詳細については言えません』と話しました」

 《担当検事はあくまでも誘導尋問のような不当な取り調べ手法はとっていないと主張。弁護人は捜査態勢について確認した後、最後に「緒方船長論というのを耳にしたことがありますか」と質問。“緒方船長論”とは満井被告が“獄中日誌”の中で記した言葉だ。緒方被告を事件の主犯とする構図ともとれるが、検事は「ありません」と一蹴。あくまでも先入観を持たずに取り調べをしたことを強調した。再び、緒方被告の弁護人が質問席に立ち、矛先を変える》

 緒方被告の弁護人「(東京地検特捜部の)副部長の取り調べはありましたね?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「副部長の取り調べ状況について、副部長から聞いたことはありますか?」

 検察官「聞く場合もあれば、聞かない場合もあります」

 緒方被告の弁護人「聞く場合とは?」

 検察官「拘置所の中で雑談として聞くこともあります」

 緒方被告の弁護人「副部長が大きな声で怒鳴ったという話を聞いたことがありますか?」

 A検事「ありません」

 《質問を終えた緒方被告の弁護人は、緒方被告に質問の有無をたずねると、緒方被告は小さな声で「私が聞いても検事には否定されるだけですから…」とつぶやき、質問の機会を自ら放棄した》

 《続いて、検察側が質問を始める。身内からの質問にA検事は淡々と答える。そのA検事に、緒方被告は厳しい視線を投げかけていた》

 検察官「平成19年7月29日、30日に副部長が緒方被告を取り調べた内容について、副部長から聞いたことはありますか」

 A検事「はい。29日については副部長は『緒方は(犯罪事実を)認めているよ。良く覚えている。ただ、弁護士と接見してからでないと調書には応じない、と言っている』と言われました。30日については、『(緒方被告は)家族を説得してからでないと調書には応じない』という話を聞きました」

 検察官「副部長から聞いた話を(自ら)緒方被告に確認する必要があった?」

 A検事「はい」

 《検察側は、A検事の取り調べに何ら違法性はないと主張したいようだ》

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