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2008年12月04日(木) 18時30分

【総連事件公判】検事は間違った逮捕状を読み上げた産経新聞

 《平成19年7月18日に行われた緒方重威(しげたけ)被告の取り調べについて、時間を細かく覚えているA検事に対して、弁護側は「どうしてそんなに時間を覚えているのか」と、何度も尋問している。あまりにA検事の証言が詳細のため、後から考えられたものではないかと、指摘したいようだ》

 緒方被告の弁護人「証人が取り調べを行う前に、(東京地検特捜部の)副部長(検事・実名)が緒方被告に取り調べを行ったということですが、その最中に○○検事(主任検事の実名)から、あなたに2回目の電話がかかってきましたか?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「何時ごろですか?」

 A検事「時間は正確に覚えていません」

 緒方被告の弁護人「午後1時半ごろですか?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「根拠はあるんですか」

 A検事「正確に分かりませんが、感覚です」

 《緒方被告の弁護人は、A検事の証言のあいまいさを強調し、信憑性(しんぴょうせい)がないことを印象づけたいようだ》

 緒方被告の弁護人「その時の○○検事の話は、『午後4時20分ごろまでには調べを終えてくれ』という話でしたね」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「そのことを(A検事の前に取り調べを行っていた)副部長には伝えましたか?」

 A検事「いいえ」

 緒方被告の弁護人「あなたは、副部長が何時まで調べをするかということは聞いていましたか?」

 A検事「聞いていません」

 緒方被告の弁護人「副部長が調べを終えたのは、何時でしたか?」

 A検事「私は分かりません」

 緒方被告の弁護人「副部長が調べを終え、(あなた自身が)取り調べを始める時点で、副部長とは何か話をしましたか?」

 A検事「一言二言、話をしました」

 緒方被告の弁護人「どんな話をしたのですか?」

 A検事「『(緒方被告が)認めたよ、あと頼む』と話しました」

 緒方被告の弁護人「あなたは取り調べに入る前に、副部長が作成した供述調書を読みましたか?」

 A検事「読みました」

 緒方被告の弁護人「どうやって読みましたか?」

 A検事「事務室で見ました」

 緒方被告の弁護人「何時ごろでしたか?」

 A検事「午後3時ごろだったと思います」

 緒方被告の弁護人「あなたは、副部長が取り調べを始めた時間ははっきり確認したのに、なぜほかの時間ははっきり確認していないのですか?」

 《副部長が取り調べを開始した時間を『1時だった』とした証言に、何度も疑問を投げかける緒方被告の弁護人。A検事は同じ説明を繰り返す》

 A検事「ですから、取り調べを開始するときは副部長が『1時から開始しよう』と話し、その後『では始めよう』と言ったので、私も時計を見て『1時だ』と確認したんです」

 《続いて、緒方被告の弁護人の質問は取り調べの内容に移る》

 緒方被告の弁護人「証人による取り調べは、午後3時20分から4時までだったんですね」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「時計で確認したんですか」

 A検事「立ち会いの事務官が確認しました」

 緒方被告の弁護人「先ほどの証人の話では、まずは自己紹介をして、緒方被告に『(朝鮮総連中央本部の土地・建物をだまし取った不動産詐欺と、4億8400万円を引き出した現金詐欺の)2つの事実は間違いありませんね』と聞いたんでしたね」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「それで緒方被告はなんて答えたんですか?」

 A検事「『間違いありません』と答えました」

 《この18日、緒方被告は現金詐欺の容疑で再逮捕されている。取り調べは再逮捕直後に行われた》

 緒方被告の弁護人「(緒方被告が罪を認める)その前に、緒方被告から『(現金詐欺に関する)逮捕状の被疑事実を見せてほしい』と言われたという事実はあるんですか?」

 A検事「夕食後、『見せてくれ』ではなく『読んでくれ』と言われ、読みました」

 緒方被告の弁護人「読んだのではなく、紙を見せたんではないですか?」

 A検事「それはありません」

 緒方被告の弁護人「緒方被告の記憶では、逮捕状を見せられた上に、(不動産詐欺の共犯として逮捕起訴されたが、現金詐欺では逮捕されていない元信託銀行員の)河江浩司被告(2審も有罪判決)の名前が入っていたため、(誤りを)指摘したら別の紙を見せられたということでしたが、そうではないのですか?」

 A検事「…それは、違いますね」

 緒方被告の弁護人「先ほどあなたは口ごもりましたが、見せたのではないのですか?」

 A検事「いいえ、見せていません。読んだのです」

 緒方被告の弁護人「(現金詐欺の被疑者ではない河江被告の名前が入った)紙を示したのではなく、口で読み上げた、ということですか?」

 A検事「はい」

 《A検事は、この取調べの際に逮捕状を読み上げたが、誤って河江被告の名前も並んだ紙を読み上げてしまい、すぐに正しい逮捕状を読んだと主張している。一方、弁護側は「当初、検察は現金詐欺について河江被告も逮捕するつもりだったため、準備した逮捕状をみせてしまったのではないか」と指摘しているようだ》

 緒方被告の弁護人「逮捕状の事実をすべて読み上げたのですか?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「実際にどのように読みましたか?」

 A検事「被疑者緒方被告、被疑者満井被告、被疑者河江被告…と読み、その時点で『なぜ河江被告の名前が入っているんだ…』と思って読むのをやめました」

 緒方被告の弁護人「どういうことですか?」

 A検事「このときに読んでしまったものは、緒方被告を不動産詐欺で逮捕する1週間前に作ったもので、案を作るように上から言われて作成した原案を破棄していなくて、誤って読んでしまいました」

 緒方被告の弁護人「その時点で、すでに『現金詐欺でも逮捕してやれ』と思っていたのではないですか?」

 A検事「いいえ、でも案を作ってみてくれと言われていましたから」

 《必死に理由を説明するA検事。緒方被告の弁護人は、時間を気にしながら質問を続けた》

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