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2008年12月04日(木) 17時04分

「詐欺を認めた緒方被告は涙を流した」と取り調べ検事 総連事件公判産経新聞

 《現金詐欺を認める調書作成に応じることを決心したとされる緒方重威(しげたけ)被告。検察官は、A検事がその調書作成の際について、詳しく尋問を続けた》

 検察官「調書の作りかたですが、まず出来上がった原案を渡し、それを読み聞かせるというやりかたですね」

 A検事「はい」

 《検察官は立ち上がると、平成19年8月5日に作成された緒方被告の供述調書のコピーらしき書類をA検事に見せ、署名や捺印が緒方被告のものであることを確認する。A検事は「追加や訂正もなく署名、捺印しました」とはっきり証言する》

 検察官「続いて8月6日のことですが、昼食から夕食まで取り調べをしましたね」

 A検事「はい」

 検察官「この日も現金詐欺は認めていましたか?」

 A検事「はい」

 検察官「このときのやりとりを教えて下さい」

 A検事「私が『調書を作成しましょう』と言うと、緒方被告は『昨日ので十分ではないでしょうか』と言いました。だから『昨日のは概略だけでしたので、きょうは詳しいものをつくります』と説明しました。すると『何通つくるのか?』と聞かれたので、『事実関係(を整理して記載した調書)を2通、緒方被告が認めることになった理由(を記載した調書)を1通で、計3通です』と説明したら、『3通を続けて作成してください。内容に間違いがなければ署名します』と言われました」

 検察官「それで夕食の時間までに作成したのは1通だけですね」

 A検事「はい」

 検察官「その後、夜も取り調べましたね」

 A検事「はい。2通目を作成しました」

 検察官「作成中に何かありましたか」

 A検事「『2通の調書は間違いないので署名します』といわれ、1通目を読み聞かせし、閲読(えつどく)させました。そして、追加も訂正もなく、署名しました」

 検察官「2通目も同じような手続きで署名、捺印したのですね」

 A検事「はい」

 《検察官は立ち上がり、2通の調書のコピーらしき書類をA検事に示し、それぞれ緒方被告の署名、捺印であることを確認させる。1通目は4月上旬から中旬まで、2通目が4月中旬以降の状況を供述しているようだ》

 検察官「8月6日の夜、2通の供述調書を作り、その後はどうしましたか?」

 A検事「3通目を作り始めました。否認から(転じて)自白(する)までの理由を記載したものです」

 検察官「これは具体的に被告人から聞いたことを書いたものですね」

 A検事「はい」

 検察官「ここには『否認していたが認める決意をした』という緒方被告の供述が書かれていますが、これも緒方被告が署名、捺印したのですね?」

 A検事「はい」

 検察官「この中に『叱責されたりもしたが、検事は辛抱強く説得してくれた』とありますが、これも緒方被告が言った言葉ですか」

 A検事「はい」

 検察官「緒方被告が署名した後のことについて教えてください」

 A検事「緒方被告は『本当に良い検事さんでした』と言っていただいたので、私も少し照れながら『ありがとうございます』と言いました」

 検察官「緒方被告を調べる中で、ほかに印象に残っていることはありますか?」

 A検事「『なぜこんなこと(詐欺事件)になってしまったのですか』と聞いたら、緒方被告も『どうしてでしょう…』と言葉を詰まらせ、しばらくすると目に涙がたまり、流れ落ち、『こんなつもりじゃない』と言いました。取り調べ終了後に『体に気をつけてください』と言ったら、『ご活躍ください』と言ってくれました」

 《検察側は、あくまでも取り調べは双方の合意のもとで、進んだことをアピールする》

 検察官「調べの中で、自白すれば刑を軽くすると言ったことはありますか?」

 A検事「ありません」

 《最後に質問を付け加えると、検察官は尋問を終了。続いて緒方被告の弁護人が質問を始めた。テンポよく進んだ検察官とのやりとりと比べ、弁護人は一つ一つの質問に時間をかける》

 緒方被告の弁護人「証人は(19年)7月18日まで、緒方被告の取り調べは行っていませんね」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「担当するように言われたのはいつですか?」

 A検事「2日くらい前だから、16日くらいです」

 緒方被告の弁護人「それまでの検事から変更することについて、上司から説明はありましたか?」

 A検事「ありません」

 緒方被告の弁護人「一切ない?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「7月17日のことですが、先ほどの証言では、午後1時に取り調べに入ったということですが、時間はどのように確認しましたか」

 A検事「事務室の時計と腕時計です」

 緒方被告の弁護人「副部長が調べていた時間ですが、証人はいちいち他の検事の調べる時間にも時間を確認するのですか?」

 A検事「いいえ。ただそのときは、(午後)1時ごろから調べを始めるという雰囲気だったので、確認しました」

 緒方被告の弁護人「取り調べ開始時間が問題になっているからこそ、後になって(時計を見ていないのに)1時と言っているのではないですか?」

 A検事「違います」

 緒方被告の弁護人「○○検事(主任検事・実名)から(接見の予定を知らせる)電話があったのは何時ですか?」

 A検事「はっきり確認してませんが…」

 緒方被告の弁護人「先ほどの証言は、確認したということではないのですか?」

 A検事「(副部長の取り調べが)1時に始まり、そこから感覚として10分くらいしてからということです」

 緒方被告の弁護人「○○検事は何と言いましたか」

 A検事「『ああ、もう始まってしまったか。仕方ないな』と言いました」

 緒方被告の弁護人「その言葉の中で弁護士が被疑者の接見についての話はなかったですか?」

 A検事「はい」

 緒方被告の弁護人「『しかたない』というのは、接見の必要がないということでしょうか?」

 A検事「そうかもしれませんが、私には分かりません」

 =(4)に続く

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