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2008年12月04日(木) 14時36分

弁護士懲戒歴3年分を公開、日弁連提案へ…選ぶ手がかりに読売新聞

 日本弁護士連合会(日弁連)執行部は、弁護士の懲戒処分歴を過去3年分開示できるようにする会則改正案を、5日開かれる臨時総会に提案する。

 これまでは弁護士のプライバシーへの配慮から、同様の開示制度は札幌、奈良、熊本の各弁護士会を除いてなかったが、司法制度改革が進む中、「弁護士選びの材料の一つとして、開示が必要」と判断した。出席会員の3分の2以上の賛成を得て可決されれば、来年7月から開示制度がスタートする。

 弁護士の懲戒処分は、弁護士法に基づき、全国の弁護士会が、弁護士倫理に反する行為で被害を受けた市民からの請求を受けて審査する。処分は、「戒告」「業務停止」「退会命令」「除名」の4段階。機関誌に全件を掲載し、主な処分は報道発表もしているが、過去の処分をさかのぼって開示する制度はなかった。

 こうした状況に、弁護士を選ぶ手がかりが少ない利用者から一層の開示を求める声が上がり、政府の司法制度改革審議会も2001年、処分の公表を拡充するよう提言。日弁連は03年から開示制度の検討を始め、各弁護士会に意見を求めたが、「開示されると、収入減につながる」といった反対意見も出た。しかし、最終的には「弁護士は自分の処分歴に一定の責任を負うべき」として、開示制度の創設に踏み切ることにした。

 改正案などでは、過去3年間に行われた処分で、業務停止以上は全件、戒告については報道発表されたケースが開示対象。依頼者か、これから弁護士を頼もうとする人が対象で、日弁連に請求すれば開示される。

 阿南久・全国消費者団体連絡会事務局長は「もともと弁護士選びの材料が少ない中で、せめて過去に処分を受けたかどうかぐらいは知りたい」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081204-00000041-yom-soci