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2008年12月04日(木) 17時03分

裁判員制度:候補者一斉通知 大半が「辞退したい」 地裁に問い合わせ17件 /島根毎日新聞

 ◇「足が不自由」「身内の介護」「70歳以上」…募る不安
 ◇就業規則改正も、企業も対応に乗り出す
 来年5月にスタートする裁判員制度に向けて、最高裁が先月28日に一斉発送した裁判員候補者への通知に対して、県内候補者から松江地裁に問い合わせが計17件(3日現在)寄せられている。大半が辞退理由についての質問で、候補者は裁判員になることに戸惑いや不安を抱いていることをうかがわせる。一方で、社員が裁判員に選ばれた場合に備え、県内企業も対応に乗り出した。【岡崎英遠、御園生枝里、細谷拓海】
 ◆1200人に通知
 県内には約1200人に通知された。辞退理由の問い合わせでは、「70歳以上なので辞退したい」「足が不自由」「現在海外に住んでいる」「身内の介護」といった内容だったという。
 調査票は15日必着で最高裁に送り返し、辞退が認められた場合、候補者名簿から外される。最高裁は来年1月31日まで専用のコールセンターを設けて裁判員制度に関する質問に対応している。
 ◆「従業員は参加を」
 一方、県内企業は裁判員制度に向けて、就業環境の整備に取り組んでいる。総合ビルメンテナンス業「さんびる」(松江市南田町)は、特別休暇を取得できるよう就業規則を改正する方針。田中正彦社長は「約1200人の従業員がおり、選ばれる確率が高い。積極的に参加してもらい、参加する場合は補助要員をたてて現場に影響が出ないようにしたい」と話している。
 山陰合同銀行(松江市魚町)では今年4月、休暇規定の公務休暇に裁判員制度を明示した。準職員やパートタイマーには通常の時給を支払う。
 スーパーマーケット「みしまや」(本部・松江市雑賀町)では有給休暇が取れることを、従業員やアルバイト店員らに周知。今月2日の店長会議でも、三島敏功社長が周知徹底を指示した。
 ◆島民も松江まで来て
 「もし、自分が裁判員になったら」。県民の不安や疑問は尽きない。地裁のある松江市まで海上で約60キロ離れた海士町の県立隠岐島前高校で11月1日、行われた模擬裁判。会場の島民からは「私が候補者に選ばれたら、専任手続きは(簡易裁判所のある隠岐・隠岐の島町の)西郷に行けばいいのか。それとも松江に行かなければならないのか。(わざわざ行って)午前中だけ手続きをして、外れたら『はい、お世話さま』で終わりか」と質問があった。
 松江地裁の岩田絵理子裁判官は「遠いところ大変だが、松江まで来ていただくことになる。午前中で終わっても日当はでるので安心してほしい」と説明。
 また、別の島民は「地裁に行くと、2泊3日は必要。テレビでは何日もかけているイメージだが、実際何日かかるのか」と質問。岩田裁判官は「7割は3日間、9割は5日間で終わるとみられ、3日連続でやるか、3日と2日の2回に分けて行われることになると思う。集中して行うことで、できる限り来られる方の負担を少なくする」と説明した。

12月4日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081204-00000302-mailo-l32