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2008年12月03日(水) 17時01分

裁判員制度:地裁で3回目の模擬裁判 参加者に不安の声も /鳥取毎日新聞

 ◇一般常識や感情で人を裁いていいものか…
 来年5月に始まる裁判員制度に向け鳥取地裁で2日、一般県民を対象にした3回目の模擬裁判があった。農業の男性(49)が飲酒運転で対向車に衝突し、対向車を運転していた男性(57)を外傷性ショックで死亡させたという危険運転致死事件を想定。この日は、6人の裁判員の選任や冒頭手続き、尋問、弁論などが行われた。参加者からは不安の声も上がった。3日も行われる。
 地裁は10月、鳥取市内の37人に模擬裁判の通知を送付。返答がなかったり、事前に欠席を連絡してきた人もおり、参加したのは27人。その中から面接とくじで6人の裁判員が選ばれた。
 くじでもれた会社役員の米沢伸明さん(52)は「仕事のスケジュールを調整するのが大変。電話も出られないのはきつい。そもそも事件を裁くのか人を裁くのか。判決を下す際に感情が前面に出てしまうかもしれない」と述べ、一般県民が裁判に参加することの難しさを指摘した。
 公民館職員の西尾綾子さん(48)は「法律の知識もなく、一般常識や感情で人を裁いていいものか。裁判員になって重大な判決にかかわったら、被告の関係者から報復もあるかもしれない」と不安を隠せない様子だった。
 別の公民館職員の50代女性は「一般常識を司法に反映させるというが、裁判官には一般的な常識はないの?」と制度導入の趣旨に疑問を呈した。
 最高裁は28日、全国一斉に裁判員候補者に通知を出した。県内の候補者は1040人。鳥取地裁には1日、7件の相談電話が寄せられた。制度についての問い合わせが多かったが、「病気がちなので辞退したい」との相談や、該当者の死亡を告げる連絡もあったという。【遠藤浩二】

12月3日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081203-00000254-mailo-l31