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2008年12月03日(水) 21時11分

<クラスター>禁止条約に日本など署名 09年にも発効毎日新聞

 【オスロ澤田克己】不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾の使用、製造、保有を禁じ、被害者支援や不発弾処理を定める「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」の署名式が3日、オスロの市庁舎で開かれた。署名国は約90カ国になる見込み。30カ国の批准後、約半年で発効する。有志国と非政府組織(NGO)が主導する軍縮条約としては、対人地雷禁止条約(99年発効)に続き2例目。「市民主導の軍縮外交」が新たな地平を切り開いた。

 署名式には中曽根弘文外相ら約50カ国の閣僚を含む100カ国以上の代表が参加。主催国ノルウェーのストルテンベルグ首相が「クラスター爆弾が永久に禁止されることを確認する日になる」と開会を宣言。同国に続き、条約作りに尽力したニュージーランド、アイルランド、オーストリアなどが署名。中曽根外相も署名した。

 条約案はノルウェーなど有志国とNGOが進める軍縮交渉「オスロ・プロセス」で今年5月、107カ国の賛成で採択されていた。

 条約はクラスター爆弾の使用や保有、製造、輸出入を即時禁止し発効後8年以内の廃棄を義務付けた。人道面に焦点を当て、軍縮関連の条約として初めて被害者支援を規定。爆弾使用国の不発弾処理への協力も定めた。

 ノルウェーとアイルランド、バチカン市国の3カ国は3日の署名式で、同条約の批准書を国連に手渡した。

 モデルとなった対人地雷禁止条約は署名式から発効まで1年3カ月かかったが、今回は来年にも発効するとの見方が出ている。

 一方、同爆弾を大量に持つ米露中イスラエルなどは条約に参加していない。署名式参加国でもロシアに対する安全保障上の懸念を持つフィンランドが署名を見送った。

 ◇クラスター爆弾

 戦闘機から投下または地上から発射され、空中で爆弾の容器が分解し、数個から数千個の子爆弾をまき散らす。米国、ロシア、日本など75カ国が保有する。イラク、レバノンなど約30カ国・地域で使用された。紛争後も不発弾が残り、市民、特に子供に被害が出ている。

 ◇クラスター爆弾禁止条約骨子

一、使用、開発、製造、貯蔵、保有、移転(輸出)の即時禁止。

一、発効後8年以内に保有する在庫を廃棄。

一、不発弾の除去、廃棄を10年以内に完了。爆弾使用国は除去、廃棄を援助する。

一、被害者に医療、社会復帰、心理的な支援を提供。

一、批准国が30カ国に達して6カ月目の月初めに発効。

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