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2008年12月02日(火) 21時20分

政局の実態は「麻生ペース」 苦しくなるのは小沢氏産経新聞

 政局の見方はほとほと難しい。「麻生vs小沢」の攻防戦は、いま、どちらに有利に展開しているのか。久々の党首会談では民主党の小沢一郎代表に軍配が上がったようだが、今後の政局を俯瞰(ふかん)すると、苦しくなるのは小沢氏のほうではないかと見る。

 昨年の「大連立騒ぎ」以後、1年たっても「早期解散」に追い込めないのだ。臨時国会の対応は早期解散を引き出すための柔軟戦略から、再び強硬路線に転換せざるを得なかった。民主党内に「小沢神話」への失望感がじわっと広がりつつある。

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 解散を先送りして民主党を「兵糧攻め」にするのが、麻生首相の戦略だ。いったんは早期解散必至と見て、選挙準備に入った民主党の現場から、こうした生殺し状態がいつまでも続けば資金が底をつくと悲鳴が上がり始めた。

 民主党は小泉政権下の「郵政総選挙」で惨敗しているため、ただでさえ公費の政党助成金が少ない。カネの面では、自民党のほうが優位にある。

 政局が緊迫すると謀略がつきものだが、やはり出た。自民党の全国調査結果をまとめたもので、自民惨敗を示す数字が示されている。これがまことしやかに流れて、「民主圧勝説」が出回った。

 実は、この調査結果は完全な偽物だった。自民党の調査では小数点以下2けたまでを出すデータはないのだが、信憑(しんぴよう)度を増そうとしてか、この調査ペーパーはそこまで念入りにしつらえられていた。

 自民党はいま、各選挙区の調査結果をその選挙区の候補にしか提示していない。全国のデータを見ることができるのは、ごく一部の幹部に限られている。

 メディア調査による内閣支持率は急落しているが、政党支持率では自民党が民主党を上回るケースも多い。麻生首相の放言、失言など一時的な「人気ダウン」に目を奪われると、政局展望を見誤ることになりかねない。

 麻生首相が第2次補正予算案をこの臨時国会ではなく、1月早々に召集する通常国会に提出する方針を打ち出したことは何を意味するか。これによって、第2次補正予算案に続く来年度予算案、関連法案の成立まで、「60日規定による衆院再可決」を計算に入れて、来年5月連休明けごろまでの政治スケジュールが出来上がったのである。

 表面的な見方とは裏腹に政局は「麻生ペース」で進んでいるとみていい。小沢氏に、この状況をひっくり返す秘策はあるか。(客員編集委員 花岡信昭)

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