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2008年12月02日(火) 16時18分

元社長に懲役7年求刑 比内地鶏の偽装表示事件 産経新聞

 秋田県大館市の食肉加工製造会社「比内鶏(ひないどり)」による比内地鶏の偽装表示事件で、詐欺と不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪に問われた、元社長の藤原誠一被告(77)=同市=の論告求刑公判(馬場純夫裁判官)が2日、秋田地裁で開かれた。

 検察側は「秋田が誇る特産品の信用を大きく傷つけた。保身と利益追求を目的に事件を主導し、予防の見地からも長期間刑事施設に収容する必要がある」として懲役7年を求刑した。

 一方、弁護側は最終弁論で「(実刑判決を受けた)ミートホープ事件に比べ悪質さに大きな差がある。高齢であり社会的制裁も受けている」などとして執行猶予を求めた。

 最後に発言を求められた藤原被告は「とにかく…。申し上げることはございません。ありがとうございました」と消え入るような声で述べた。

 論告などによると、藤原被告は平成18年4月から19年9月の間に、卵を産まなくなった廃鶏の鶏肉や普通の鶏卵を原料にしたくんせいなど4製品を県特産の比内地鶏と偽って表示。県内外の取引業者11社に販売して代金計約6328万円をだまし取った。

 同社は、藤原被告が経営に参画した昭和62年ごろ、廃鶏を使った商品を「比内鶏くんせい」として販売。平成14年10月ごろ、取引業者から「天然記念物の比内鶏を商品名に使うのは偽装ではないか」との指摘や地鶏ブームを受け、藤原被告が商品の名称を比内地鶏に統一。藤原被告は社内からの「法律違反になる」との反対を「鶏は鶏だから。牛や豚を使っているわけでねえからいいべしゃ」として一蹴した。

 事件は19年10月、匿名の告発が大館保健所に寄せられたことで発覚。同社の偽装商品は「比内地鶏くんせい」など26品目中16品目に及んだ。

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