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2008年12月02日(火) 10時27分

<年金記録改ざん>「職員が届け出書代筆」さまざまな手口で毎日新聞

 厚生年金記録の改ざんを巡る舛添要一厚生労働相の調査委員会による調査で、「診療報酬明細書(レセプト)の特別管理表があった」「白紙の書類に社判を押させた」などと社会保険事務所職員が証言し、組織的改ざんと隠ぺいの手口が明らかになった。保険料の徴収率を維持するため、経営者だけではなく従業員の標準報酬月額まで改ざんしたことを初めて認める証言もあった。これまで職員による改ざんを1件しか認めていなかった社会保険庁は、抜本的な対応の転換を迫られそうだ。

 調査委は、社保庁本庁や社保事務所職員ら計約1万5000人にアンケートをした。

 標準報酬月額の引き下げについて、首都圏の職員は「事業主から白紙の届け出書に社印と代表印を押させてもらっておき、後で職員が代筆した」と証言。事業主が行方不明なら三文判で勝手に脱退届を作る例もあった。都内の元社保事務所幹部は毎日新聞の取材に「各事務所に100〜200個も三文判があった」と話している。

 従業員が受け取る年金を減らす標準報酬月額改ざんについて、ある社保事務所次長が「滞納額がどうしても減らない場合に行った」と述べた。徴収率の維持が目的だった。

 さかのぼって厚生年金から脱退させる遡及(そきゅう)脱退については、従業員の政府管掌健康保険の無資格受診が発覚しないよう「レセプトの抜き取りをした」とある課長が証言した。「(レセプトの)特別な管理表が作られていた」との証言もあった。

 休業などを装った偽装脱退では、別の課長が「標準報酬月額を引き下げるだけでは再び会社は滞納する」として、事業主を説得して脱退届を出させていたことを明かした。「必ず脱退処理を先にして、その後、滞納額を減らすため標準報酬月額をさかのぼって引き下げた」とする社保事務所次長もいた。【野倉恵】

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