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2008年12月02日(火) 08時01分

内閣支持率27.5% 本社・FNN合同世論調査産経新聞

 麻生太郎内閣の支持率が、9月末の政権発足当初の44・6%から17ポイント以上も下落し、27・5%と3割を割り込んだことが1日、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で分かった。不支持も58・3%と6割に迫って、「支持」「不支持」が逆転し、首相への厳しい世論が顕在化してきた。

  ■表でチェック■ 麻生vs小沢 党首力比較

 麻生政権への評価を聞いたところ「指導力」については71・9%が、「首相の言動」は、78・4%がそれぞれ評価しなかった。景気対策や外交政策も、評価するとの回答は2〜3割にとどまった。また定額給付金を「景気対策として適切だと思う」との答えは18・3%で、「適切だと思わない」が76・9%だった。

 首相と小沢一郎民主党代表の2人のどちらが首相にふさわしいかを聞いたが、これまで首相に圧倒されていた小沢氏が32・5%と、1ポイント差で首相を上回った。

 「主張に説得力がある」のは麻生首相の27・9%に対し、小沢氏が51・5%。「政策がよい」でも、首相の28・3%を、小沢氏の36・4%が上回った。

 30%弱の内閣支持率は、参院選で敗北直前の平成19年7月の安倍晋三内閣(29・1%)や、ねじれ国会の今年2月の福田康夫政権(28・7%)と同水準。

 調査は11月28日の首相と小沢氏の党首討論直後の29、30の両日に実施した。全国の成年男女1000人から回答を得た。

 首相は1日夜、首相官邸で支持率急落について「国民の批判は謙虚に受け止めなければいけないと思っている」と答えた。

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 ■“麻生節”に冷たい目

 麻生首相の支持率が政権発足から約2カ月で約17ポイントも急落したのは、「人柄」「指導力」「改革意欲」「言動」といった「首相の資質」をめぐる問題がクローズアップされたからだ。また、米国発の金融危機を受け、日本経済の低迷感が深刻化する中で、緊急市場安定化対策や平成20年度補正予算案を次々に打ち出したとはいうが、合同世論調査の回答者のうち71・3%は麻生内閣の表看板である景気対策についても評価していないことが分かった。

 麻生首相の人柄を評価しないと回答したのは56・7%、指導力について71・9%が評価しないと回答した。医療費にかかわる放言や「医師は社会的常識が欠落」発言などの問題が相次ぎ、釈明に追われる首相の言動が影響しているとみられる。また、定額給付金をはじめ、道路特定財源の一般財源化や日本郵政グループの株売却問題で発言が二転三転したことも急落に拍車をかけようだ。

 河村建夫官房長官も1日の記者会見で、「首相の(不適切な)発言もあって、それに対する厳しい目が注がれたと思う。挽回(ばんかい)すべく前向きに、国民目線を失わずに諸懸案に取り組む」と述べ、麻生首相の言動が支持率低下につながったとの見方を示した。

 7割を超える回答者が「評価しない」とした麻生首相の指導力については、自民支持層で47・9%、公明支持層でも58・5%と約6割が「評価しない」と疑問を投げかけており、与党支持層の中にも首相への強い不満が広がっている実情を浮き彫りにした。

 一方、指導力を「評価する」は15・8%で、男性で比較的高評価だったのは60代以上の20・9%、女性は40代の22・4%だった。

 麻生首相は「政局よりも政策」を優先する考えを重ねて示し、民主党など野党各党が求めている早期の衆院解散・総選挙には応じない考えを示している。

 だが、本来、首相が指導力を発揮しやすいはずの外交政策や景気対策についても、世論は極めて冷ややかに見ており、挽回策を探り出すのは容易ではなさそうだ。(田中靖人)

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