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2008年12月01日(月) 15時24分

Gmail、日本のユーザー数が過去1年で80%増@IT

 Gmailの日本国内でのアクティブユーザー数は過去1年で約80%増加——。12月1日に東京・渋谷で開催した説明会で、モバイル担当プロダクトマネージャの岸本豪氏は、こんな数字を明かした。クラウドのメリットが理解されるにつれ、採用を検討する組織が増え、特に2007年春に日本大学が大規模導入してからは大学を中心に教育機関での採用が増えているという。サーバ運用コスト削減のほかにも、選定から導入まで短期間で済むこと、多くの学生や教員がすでにGmailを使っておりトレーニングの時間が不要なこと、留学生の多い学校では多言語対応なども評価される場合があるという。

●オープンであることは広告収入以上の価値

 同社はモバイル版とPC版それぞれでアクティブユーザー数を計測しており、その伸びは両者でほぼ同一。7日間に1度以上利用するユーザーをアクティブユーザーと定義した場合、2007年11月時点と比較して2008年11月のユーザー数は、PC版でもモバイル版でも約80%増加しているという。ただしこれは比率で、実数は公表していない。

 Gmailは2004年に招待制のプレベータ版として開始。「以来、グーグルはユーザーの要求をいろいろと学んできた」(岸本氏)。岸本氏はグーグルが初期のGmailユーザーから学んだ知見と、それに基づく設計ポリシーを、以下のように紹介する。

 サービス開発当初からあった認識は「メールは、ただメールを送るためだけのものではない」というものだという。「当初は紙の手紙を置き換える用途に使われていたが、大容量が扱えるようになるにつれて利用法が変わってきた」(岸本氏)。メッセージを複数回やりとりして予定を調整したり、ファイル添付して写真やドキュメントを共有したり、ストレージ代わりに使うような用途もあるという。「メールボックスが2GBというのは当時としても大きかったが、現在は容量を拡大して7GB以上となっている。もっとも要求の厳しいユーザー向けに開発していく」(同氏)。また、「メールは単純な手紙の置き換えではなく統合的コミュニケーション環境として進化してきた」ことから、チャット機能、ビデオチャット機能なども追加した。

 Gmailの設計ポリシーとして特徴的なのは、受信メールの外部への転送やPOPやIMAPによるメールボックスのエクスポート機能に対応していることだ。「ビジネス面だけで単純に考えると転送はやりたくないサービスだ。なぜなら転送してしまうとGmailを使う必要がなくなり、Gmailで表示される広告がユーザーの目に触れなくなるからだ。しかし、オープンであることは、広告以上の価値があると考えている」(岸本氏)。普段から転送しておいたり、POPで受信メールを取り出せば、次の日から他サービスへ乗り換えるのは簡単だ。しかし、「それでもなお使ってもらえるようなサービスにしようというのがGmailの重要なポリシー。ユーザーが“囲い込まれたから”ではなく“好きだから”で使ってもらうサービスにしたい」(同氏)。

 ユーザーの多くがスパムと考えるものはスパムメールと判定するという「民主的で賢い」(岸本氏)スパムフィルタは、Gmailのウリの1つという。スパムは現在も増加傾向にあり、過去2年ほどはメール全体の7、8割という水準だが、Gmailユーザーが受信するスパムは「1%以下で、現在も減り続けている」(同氏)。

 「日本はモバイルの割合が高い。主要国では1番」(同氏)というモバイルユーザーの多さから、ケータイ利用者向けの機能改善も日本チームを中心に行ってきている。絵文字対応や日本の携帯電話端末向けのUIの改善を進めており、「(PC版のGmailでできて)日本の端末でできないことをなくしていきたい」(同氏)という。同社は11月27日には日本の携帯電話キャリア3社が使う絵文字をUnicodeの文字体系に入れる提案用オープンソースデータの公開も行っている。

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