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2008年12月01日(月) 08時08分

元厚生省OBの医師逮捕 不正請求暴くプロが自ら不正産経新聞

 「不正請求は行っていない」−。美容外科「菅谷クリニック」(横浜市泉区、現サニークリニック)で診療報酬を不正に請求したとして、詐欺容疑で神奈川県警に逮捕された菅谷良男容疑者(58)は、旧厚生省で不正請求が疑われる保険医療機関への監査に従事した経験を持つ、その道のプロ。不正の手口には精通していた。

 菅谷容疑者は昭和62年〜平成元年まで、旧厚生省で医療指導監査官として保険請求の不正監査に従事。かつては医療機関による巧妙な架空請求や二重請求に目を光らせ、「摘発」してきた。

 しかし、旧厚生省を退官後後に美容外科をスタートさせると、自らが不正に手を染め、逮捕前には「治療していないのにしたものとして請求したことはない」と繰り返した。

 厚生労働省によると、18年度に実施した医療機関への個別指導は3334件で、新規に保険適用となった施設への指導分などと合わせ、求めた返還額は計約53億4000万円。

 総医療費が30兆円を超える一方で、少子高齢化の急速な進展で保険財政は逼迫(ひっぱく)の一途をたどっており、診療報酬の不正請求は財源不足をより悪化させる。

 不正請求を知り尽くした菅谷容疑者が逆に不正を行っていたとすれば、許されるものではない。

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