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2008年11月28日(金) 16時51分

【党首討論】(2)麻生首相「状況悪化の可能性考えねばならなかった」産経新聞

 麻生太郎首相は28日午後、民主党の小沢一郎代表との党首討論を行った。党首討論の詳報は以下の通り。

                      ◇

 小沢氏「えー、総理の今の答弁を簡単に結論を言うと、1次補正で十分、年末大丈夫だという、そういうお話だったと思いますが、私が今の総理のお話を聞いてですね、本当に今になって、そのような言い方をなさるということは、一国の総理大臣として非常におかしい、筋の通っていないことだと思います。まず、一番最初、私、びっくりしましたことは、1次補正の審議が行われていないうちに2次補正の話が、政府与党から出てまいりました」

 「私の経験で言いますと、一つの予算案が通る前に、むしろ審議もしていない前ですな、今度は。通る前に、次の予算の話をするということは、聞いたことありませんけれども、しかしながら、いずれにしても、1次補正ではそれでは十分でないと、そういうふうに判断されたからこそ10月30日に、総理も若干お話になりましたけども、信用保証枠30兆、20兆円に拡大する。政府関係の融資10兆円を拡大する、目標30兆円というものを含めまして、2兆円の例の問題、あるいは1兆円の交付の問題等々、いろいろな話がありましたけれど、いずれにしろ、1次補正ではまだ足りないからということで、積極的に2次補正を10月の30日に、この国会で出すというお話をなさったのではないでしょうか」

 「今になって来年でいいんだということになりますと、ちょっと今までの総理のご発言の趣旨から言うと、筋道が通らないように、これは私だけじゃなく、国民のみなさんも思うんじゃないでしょうか」

 麻生首相「1次補正を作りました8月の末、それ以後、例のリーマン・ブラザーズという大きな事件が起きました。もうご存じの通りであります。このときにものすごく、大きな問題がでてきたのはもうご存じの通りであります。従って、状況としてはどのような形でこれが、さらに悪化していくか、ということに関しては、私は多くの方々が不安に思われたことは確かなことだと思います。従いまして、私は総裁に当選をさせていただきました後、10月の末に、いわゆる生活対策ということで、きちんとしたものを作っておかないと、少なくともこの状況がさらに悪化していく可能性というものも、考えねばならんと思っておりましたので、2次補正の必要があると申し上げておるんであります」

 「幸いにして今の所のあれを見ていますと、今、月々中小企業、もしくは小規模企業の資金繰りというものを見ますと、少なくともこのところの貸し出している量を比べてみますと、今の段階でこの2日間では1000億台に乗りましたけれどもで、それまでは100億台、そういった形でかりに営業日が30日ありましたとしても、そこそこ、少なくともこの問題に関しましては、対応はできる」

 「もう一点は貸し手側の話でありまして、この貸し手側のこの銀行が貸し渋り、貸しはがしをせざるを得ないような自己資本比率が、下がっておるという今の状況を考えますと、貸し手側のことも考えて対応する必要があるので、金融機能強化法という法案を、政府としては提出させていただいております。従って、早急に、今ほとんど審議が終わったように伺っておりますが、これを採決していただくということが、貸し手側としては、非常に自己資本比率の問題含めまして、いろいろな問題を考えなければならない、というのはもう、貸し手側は誰でも分かっていると思いますが、これで迷惑を受けるのはまた借り手側ということになりますので、その意味ではぜひ、この問題につきましては、小沢党首のリーダーシップで早急に参議院でこの結論を下していただきますよう、重ねてお願い申し上げたいと思いますが、この点についてはいかがお考えかと、おっしゃっていただければと思います。

 小沢氏「あの、先程来から、法律の話を総理はなさっておりますけれども、私どもは総理との会談の時も申し上げましたように、意図的に審議を延ばして、ということは、意図的に審議を引き延ばすことをしないということを申し上げましたし、十分な常識的な範囲で、総理が聞こえないそうですから、ちょっと、常識的な範囲で審議を尽くして、そして結論を出すということを申し上げております」

 「ただ、金融機能強化法案につきましては、私どもも政府案と別な主張がございます。従いまして、その点につきましては、ぜひ参議院でも修正の協議に自民党も応じてもらいたい。今、自民党は全くそれに応じようとしていないのです。ぜひ、それは総裁の方からも指示をしていただいてもらいたいと、そのように考えています」

 「それから、もう一つの、それに関連しての話ですが、貸し出す側の問題もこれ、ちゃんと手厚くしなきゃならないということですけども、本当にですね、総理のご認識が、こないだの1次補正でもって、大丈夫、この年末を越えられる、というご認識のようですけれども、いろいろな調査を見ますと、もうすでに10月では倒産件数、前年比14%増。それから雇用も、非正規の雇用者みんな打ち切りになってきている状況です」

 「まさに、正社員にまでその、いわゆる俗にいえば首切りの、雇用の停止、中止が求められている。そういう状況であります。ですから特に、中小零細企業のみなさんの資金繰りが厳しいっていうこと、倒産が多いってことは、だからこそ総理も、信用枠を30…20兆円にしましょう、公庫のあれを10兆円にしましょうと、そう言ったわけでしょ? それをまさに、今どうして、この国会に出さないのかということがね、これは誰が考えても、分からないことじゃないでしょうか。それから、もう1つの理由としてですね、例えば歳入欠陥の、大幅な歳入欠陥のお話が理由に挙げられることありますけども、これはこれでまた別の話でございまして、それほどの不景気だからこそ、補正予算を早くしなきゃいけないんでしょうよ」

 「ですから、私はそういう意味におきまして、えー、今、今まで、総理の言ってこられたことと、最近になりまして、総理のおっしゃってることは、全く論理一貫しない。私は筋道の通らない話だと思います。もう1度お伺いしますけども、補正予算の件についても、こないだの会談でも申し上げましたが、常識的な範囲できちんと、結論を得るようにいたしますと、またここでも繰り返しますけども、補正を出す意思は、全くないということですか」

 麻生首相「まず、まず最初に、こないだの申し込みに来られました、官邸にご足労いただきましたけれども、あのときにいただきました、審議に、えー、できる限りって言われましたっけ、審議に応じるという話をいただきましたが、今こういった公開の席で、こういった形でお受けをいただきましたことは誠にありがたく、私どもとしては大変ありがたく思っております。まずこれは今後、いろいろ審議をしていくうえで、非常に大事なことだと思いますんで、こういったことが実行されていきますリーダーシップはお持ちでありますんで、そういった意味で、基本的にわれわれとしては大変、感激をしております。感謝申し上げます」

 「そのうえで申し上げますけれども、2次補正につきましては、先ほども申し上げました通りに、われわれとしては、少なくとも今の段階で、今この国会の中で審議をされていません、この金融機能強化法はまだ採決されておりません。これすごく1次補正とも関係する、すごく大事なところでありまして、金融機能強化法というものに関しましては、衆議院で一部これは修正をしたうえで、このような形で通過して、参議院に送られてきたと、私はそのように記憶しております。従いまして、衆議院で採決されて、修正に応じて採決をされて、参議院に来ておりまして、ぜひこの分に関しましても、早急にこれを採決していただきませんと、貸し出し側のほうに大きな影響が出るということを申し上げいるんでして。これ、借り手側と貸し手側と両方の話ができませんと、この資金というものは、資金繰りというものはできないというのは、これは商売をしていれば、誰でもそういうものだと知っております」

 「従いましてこの問題もあわせて解決していただくと。それが私どもとしては一番大事なとこだと。これは1次補正ですよ。1次補正の話。これは1次補正の話ですから。従って2次補正に関しましては今申し上げましたように、先ほど申し上げた答弁の繰り返しになるようで恐縮ですけれども、この1次…、2次補正の中には、2次補正の問題として、いわゆる、大きく20兆になります、資金繰りの元になります貸出枠5000億の話、いわゆる生活対策の問題とか、金融機能強化法というものが仮にこれが通りましたと、それに対応いたしまして、そこの2兆円をさらに増やさねばならないと。それが2つ」

 「そして3つ目が、減額補正の問題。3つの分をまとめて提出するというのが、私どもとしては基本的に正しいと。国民にもそのほうがご納得をいただけると。それが大きな理由であります。また年末に対してはどうか、というお話でしたけれども、現実、貸し出しをずっと見てます、このところでありますと、少なくとも、借り手側に対する貸し出しは、1日約…、昨日、今日で約1000億円台でありますから、営業日数を計算しましても、今回の9兆円で年末は一応できるのではないかと。借り手側から見ますと、そのようなことになっております」

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