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2008年11月21日(金) 03時10分

元次官夫婦殺害犯、玄関や門扉に指紋残さず読売新聞

 元厚生次官宅襲撃事件で、殺害された山口剛彦さん(66)と美知子さん(61)夫妻のさいたま市内の自宅のインターホンや玄関ドアのノブには、犯人のものとみられる指紋が残っていなかったことがわかった。

 東京都中野区の吉原健二さん(76)の妻靖子さん(72)が、宅配便業者を装った男に刃物で刺された際、男が玄関前まで箱を持ってきていたことも判明した。埼玉県警と警視庁は、両事件とも周到に準備や注意をしている点で、犯人像が酷似しているとみて捜査を続けている。

 埼玉県警幹部によると、山口さん宅のインターホンは門扉と玄関ドアの計2か所にあり、2か所ともボタンから、犯人のものとみられる指紋は採取されなかった。玄関の外と内のドアノブのいずれにも犯人のものらしき指紋は残っておらず、ふき取った跡もなかった。室内外からは36個の指紋が採取されたが、夫妻や関係者のものとみられる。

 また室内に残された血痕が付いた足跡は、玄関から台所とダイニングルームの入り口付近まで続いていた。同県警は犯人が山口さんらを殺害後、ほかに誰かいないかを確認するため、上がり込んだ可能性が高いとみている。

 屋内の足跡と屋外で見つかった足跡は酷似しており、県警幹部によると、靴は有名ブランドではなく、安価な大量生産品とみられるという。

 ダイニングルームのテーブルにあった二つの財布には、いずれも札はなかった。盗まれたかどうかは不明。

 一方、警視庁幹部によると、吉原さん宅で犯人に襲撃された妻の靖子さんは20日、入院先の病院で事情聴取に応じ、「インターホンで『宅配便です』と呼び出され、玄関を開けて応対したら突然刃物で胸を刺された。その後の犯人の行動については覚えていない。犯人は1人だった」と話したという。

 靖子さんの証言では、犯人は、つば付きの野球帽か作業帽のようなものをかぶり、手には箱を持っていた。年齢は30〜40歳で身長165センチ程度。靖子さんは刃物で切りつけられた際、玄関先から家の中に逃げ込み、その後、玄関から飛び出したという。

 同庁の現場検証では、玄関のほか、廊下、ダイニング、リビングから犯人のものとみられる足跡が、血痕を追うように発見された。靖子さんは右背部にも1か所刺し傷があり、同庁は、犯人が逃げる靖子さんを家の中まで追いかけた可能性があるとみている。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081121-OYT1T00029.htm