元厚生事務次官宅襲撃事件で、さいたま市の自宅で殺害された山口剛彦さん(66)と妻美知子さん(61)の遺体のそばに、「山口」と刻まれた印鑑が落ちていたことが埼玉県警の調べでわかった。
同県警は、宅配便を受け取ろうとして玄関を開けた直後に襲われた可能性が高くなったことなどから、元同次官の吉原健二さん(76)の妻が東京都内で宅配便業者を装った男に刺された事件との関連性が強いとみて、19日午後、警視庁と共同捜査本部を設置した。
同県警の発表などによると、印鑑はインク内蔵型で、ふたが付いたまま玄関の土間に落ちていた。
美知子さんの腕や体には争った際にできる傷がほとんどなかったが、山口さんの腕や脇腹には刃物をよける際にできたとみられる切り傷が数か所あった。県警は美知子さんがいきなり刺された後、山口さんが犯人ともみ合いになった可能性もあるとみている。
一方、司法解剖の結果、山口さん夫妻の刺し傷から、凶器は刃渡り16センチ以上の片刃の刃物とみられることも判明した。
捜査幹部によると、山口さんの胸と背中に計4か所、美知子さんの胸と脇腹には計3か所の目立った傷があり、1か所は深さ約16・5センチに達していた。
また、吉原さん宅の事件では、靖子さん(72)を刺した男が血のついた足跡を残していた道路で、車が猛スピードで走り去る音を付近の住民が聞いていたことがわかった。
警視庁幹部によると、吉原さんの自宅からは南側に約60メートルにわたって、靖子さんのものとみられる血痕がついた足跡が残っていた。
事件発生とほぼ同じ時間帯、現場近くに住む女性(31)は、普段は車がスピードを落とす交差点で、スピードを上げて走り去る車の音を聞いたという。この女性は「スライド式のドアを閉める音がした後、車がスピードを上げて、一方通行を北に向かって走り去っていった」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081120-OYT1T00008.htm