2008年09月28日(日) 13時45分
【国交相辞任】辞任会見一問一答(1)「身がひきちぎられる思い」(産経新聞)
28日に辞任した中山成彬国土交通相は同日午前、国交省内で会見し、辞任を決意するに至った経緯や心境を述べた。一問一答は以下の通り。
◇
本日9時半に官邸に行き、総理に辞表を提出し受理された。これまでたくさんの方から「よく言ってくれた」「がんばれ」「辞めるな」という山のようなメールをいただき、電話が深夜まで鳴り続けた。
私自身も重要ポストに就けていただき、道路行政や観光立国、海洋政策とやりたいことがいっぱいあり意欲を燃やしていたが、国土交通相の域を越え、他省庁(文部科学省)の所管にまで言及してしまった。国難というべき経済危機の中、たくさんのかたが困っていらっしゃり、なにより私がいることで、明日からの臨時国会で緊急経済対策、補正予算の審議にいささかの支障があるとすれば本位ではない。たくさんの人々が困っている姿を目の当たりにしてきたので、補正予算などの審議をスムーズにしていただくため、身を引く決意をした。
私の国交相就任を喜んでくれた地元の方々のことを思えば身が引きちぎられる思いだ。地方の道路整備は国交省の皆さんにお願いし、基幹道路は1日も早く完成するよう求めていきたい。
−−辞任の理由は、国会審議への影響を考えてか
「はい」
−−国民に迷惑をかけたという理由ではない?
「発言で迷惑をおかけした方々がいらっしゃったことはこの前も陳謝した。今回の辞任の理由は、(現在の経済情勢で)困っている国民がたくさんいるのに、国会審議が滞るのは耐えられないという思いだ」
−−麻生内閣や衆院選への影響は
「そのことが一番の心配。もしそういうことがあれば万死に値する。私自身が、さまざまな場所で国民の皆様にご理解を求める運動をしていきたい」
−−25日のインタビュー後、成田空港、単一民族、日教組の3つの発言ついて撤回した。しかし昨日は記者団に対し、日教組に関する発言は撤回していないとおっしゃった。
「最初の2つについては国交相としての発言で撤回した。日教組については、国交省の建物内で発言したことは撤回したが、政治家・中山成彬としては撤回していない」
−−公人の立場と私人の立場の違いか?
「というより、国交相と、政治家・中山成彬の区別だ」
−−日教組については、迷惑をかけたとはいえないのか
「全国の先生方は、ほとんどが一生懸命、子供のことを考え、自分の身を犠牲にして向き合っている。私自身も小、中、高と素晴らしい先生に育てていただいた。それもあって今日までやってこれ、感謝している。教員の待遇改善、子供と向き合う時間を確保するための施策も私はこれまで率先してやってきた」
「問題は、ごく一部、過激な分子がいることだ。だから昨日の解体せよという発言になった。まじめに子供に向きあっている先生方と違い、政治的に、子供たちをだめにして、日本をだめにしようという闘争方針のもとに活動している方々がいる。それが日本をだめにしているのではないかと私は思っている」
−−日教組が強いところが学力が低いと発言されたのは正しいのか
「ちゃんとした授業ができているのかなというのがあったが、授業より政治活動に力を入れているところがあるのも事実。学力だけでなく、日教組の強いところは国旗も掲げていないとか、過激な性教育とか、道徳教育に反対しているとか、信じられない。日本の世相をみると、道義をわきまえた子供たちを育てていくことが必要。学力、体力、気力、道徳性を身につけた活力ある若者をたくさん輩出することが、日本を繁栄させる道だと思う。これから日本に生きる子供が幸せな充実した人生を送ってほしい。先生方に協力をお願いしたい」
−−そうではなく、日教組が強いところが学力が低いと発言されたことについてだ
「おおむねそうだとおもうが、日教組についての話は、ここでは場違いだと思うので、また別のところで大いに議論しましょう」
−−そういう考えはおもちということですね
「そうです」
−−それを明らかにするために学力調査を始めたとも言われたが、それも撤回しないということか
「教えたことが子供の身に付いているのかをみながら、授業方法を改善していくことも大事だと思う」
−−結論からすると撤回されない
「(うなずく)」
−−辞任はいつ決意
「辞任しなければと途中からは思ったが、夕べ、いろいろな方々と相談し家内にも相談した。最終的には自ら身を引く決断をした」
−−途中というのは、いつごろから
「途中からですね」
−−金曜は国交省を出る前に、責任、職務をまっとうしていこうという決意で出ていかれたが、昨日、宮崎でああいう発言があった。どういう心境の変化があったのか
「本当に悩みました。国交相としての仕事もしたいなあと。地元の方々のことを考えると胸の張り裂ける思いだったが、政治家・中山成彬として、何が日本をだめにしているのかということを伝えることも、政治家の責務だろうと考えたときに決断した」
−−25日のインタビューで日本人は外国人を好まない、望まない、あるいは内向きであるというご認識を示されたが、その認識は変化があるのか
「日本列島という離れたところで、あまり外国と交流がなかった。だからそういう国民性になったのかなと。それではいかん、外に開かれた国民性に変わっていかなければならんと、そういう思いを申し上げた」
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