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2008年09月11日(木) 19時27分

司法試験合格ゼロ3校…合格率もダウン産経新聞

 法務省は11日、法科大学院の修了者を対象に平成18年から始まった「新司法試験」の20年の合格者を発表した。合格者数は2065人にとどまり、合格者数の目安とされた「2100〜2500人」の下限を下回った。合格率も前年より約7ポイント低く、過去3回で最低の32・98%だった。受験生のレベルの低さが浮き彫りとなり、法科大学院のあり方の見直しが急務となりそうだ。

 法務省によると、今年の受験者数は計6261人。大学の法学部出身者が入る「2年コース」修了者の合格率は44・34%にのぼったが、法学部出身者以外の未修者向けの「3年コース」の修了者は22・52%と低調で、既習者と未習者の合格率の開きは、前年から約8ポイントも上昇した。

 大学院別の合格者数は東大が200人でトップ。中大(196人)、慶大(165人)、早大(130人)、京大(100人)と続いたが、愛知学院大、信州大、姫路独協大の3校は合格者がいなかった。昨年は合格者なしの法科大学院はなかった。

 合格者数の目安は、これまで2回の試験で下限を下回ったことがなかった上、合格者ゼロの法科大学院が複数校にのぼるなど、一部の法科大学院の教育が、法曹界の求めるレベルに達していないことを示した。

 法曹関係者は「都市部や名門大学の法科大学院に優秀な生徒も教員も集中している。合格率の低い学校の中には、生徒数の減少で大学経営が先細っているため、授業料目当てに設置したとしか思えない法科大学院すらある」と指摘する。

 保岡興治法相はすでに、司法試験の合格実績の低い法科大学院の統廃合を進めるべきだという考えを示しているほか、中教審の法科大学院特別委員会も質の高い教員確保が困難な学校の統廃合の促進を検討するよう求める改革案を提示。改革を求める声は高まっており、今回の結果によって論議に拍車がかかりそうだ。

 2年コースと3年コースの合格率の差が開いたことも深刻な問題だ。法学部以外を卒業した社会人を、社会経験を生かせる法律家に養成することが法科大学院制度の大きな目的の1つだが、3年コースの低迷ぶりで、社会人の司法試験離れが進むことも懸念される。

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