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2008年09月10日(水) 16時11分

行政訴訟の門戸広げる 区画整理訴訟最高裁判決産経新聞

 10日の最高裁大法廷判決は、行政訴訟で住民が門前払いされることを避ける道筋をまた1つつけた。判決は他のまちづくりをめぐる訴訟でも、議論を生む土台になりそうだ。

 行政訴訟は、土地区画整理や都市再開発など、行政主導のまちづくりに関して住民が異議を唱えられる機会だ。ただ、行政訴訟を起こすには大きな関門が2つある。

 1つは訴えを起こす資格があるかどうか。もう1つは行政の計画決定が行政処分に当たるかどうかだ。両方がそろわないと、提訴しても違法性の審理はされずに却下される。最高裁の統計によれば、平成19年の行政訴訟の却下率は約15%にも上る。

 訴える資格の有無については、16年の行政事件訴訟法改正で基準が緩やかになり、最高裁は17年に「小田急線高架訴訟」で従来より拡大する判決を言い渡している。しかし、後者については手つかずのままだった。今回の大法廷判決は、行政訴訟の門戸拡大の流れにそって、行政処分の範囲をより広く認めた。

 一方で、行政処分の範囲を土地区画整理事業など具体的な事業の前提になる都市計画決定の段階まで拡大することを求める声もある。その方が、住民がより早く、司法を通じて行政をチェックできるようになるためだ。都市計画決定は行政処分ではないとする判例があるが、今回の大法廷判決により、この点の議論も活発化しそうだ。(半田泰)

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