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2008年09月10日(水) 16時29分

区画整理、計画段階でも審理…最高裁が42年ぶり判例変更読売新聞

 自治体が決定した土地区画整理事業の計画について、住民が計画決定の段階で取り消しを求められるかどうかが争われた行政訴訟の上告審判決が10日、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)であった。

 判決は、事業計画の決定段階での取り消し訴訟は起こせないとした最高裁判決を42年ぶりに変更。訴えを却下した1、2審判決を破棄、審理を1審・静岡地裁に差し戻した。

 15人の裁判官全員が判例変更の判断を示した。今後は、計画段階で事業の是非について司法判断を求められるようになり、行政計画を巡る訴訟に影響を与えそうだ。

 原告は浜松市内に住む地権者ら29人。同市に対し、2003年11月に決定した遠州鉄道上島駅周辺の区画整理事業計画を取り消すよう求め、04年2月に提訴した。

 最高裁大法廷は1966年2月、「事業計画の決定段階では、一般的、抽象的な事業の青写真に過ぎない」として、計画段階では訴訟は起こせないとの判断を示し、その後の同種訴訟は却下が続いてきた。

 この日の判決は、事業計画が決定されると建築制限などの規制が課され、ほぼ確実に土地の交換などが行われることを挙げ、「計画決定が住民らの法的地位に直接的な影響を生じさせる」と述べた。その上で、「実効的な権利救済を図るためには、計画決定段階での提訴を認めることに合理性があり、判例は変更すべきだ」と判断した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080910-00000028-yom-soci