記事登録
2008年08月31日(日) 22時35分

EU緊急首脳会議 対露制裁の是非焦点に産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】グルジア紛争をめぐり、ロシアへの外交姿勢を協議する欧州連合(EU)緊急首脳会議が1日、ブリュッセルで行われる。グルジア侵攻を続けるロシアに対し、EUがどこまで団結し、制裁などの強い措置を打ち出すかが焦点だ。国際的な孤立状態にあるロシアは、石油で欧州消費量の4分の1、ガスで3分の1を握っており、強気の姿勢で議論の行方を注視している。

 ロシアは軍事力でグルジアを圧倒したものの、グルジア侵攻や同国内分離派地域の独立承認が国際的非難を浴びている。中国など友好国で構成される上海協力機構(SCO)でも支持は得られていない。

 しかし、ロシアは先にメドベージェフ大統領が「新冷戦をも恐れない」(声明)と述べたように、豊富な地下資源や国連安保理での拒否権を背景とした自国の外交力を認識している。EU内でもこれまで、対露強硬姿勢の東欧やバルト諸国に対し、ドイツやイタリアはより柔軟な協調姿勢をとってきた。ロシアとしては、EU諸国の資源依存をちらつかせて欧州の対露姿勢が割れることを期待、有利な形での紛争決着に持ち込みたいところだ。

                   ◇

 【パリ=山口昌子】グルジアのマムカ・クダバ駐仏大使はこのほどパリで一部記者と会見し、EU(欧州連合)に対して人権擁護や人道支援を要請していく考えを強調した。

 同大使は、グルジア国内に約2万人のロシア軍と戦車約100両が依然駐留し、難民も約10万人に上りロシア軍による放火や略奪、「民族浄化」が行われていると指摘。人権保護や破壊されたインフラの復興に向けた人道的支援を求めた。大使はフランスのヤデ人権担当相とも最近、会談しグルジアの人権擁護を正式に要請したという。

 グルジアとロシアが署名した6項目の停戦合意に関しては、ロシア軍の戦闘開始以前のラインまでの撤退、南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の安全保障と安定の手段に関する国際的議論の開始−が特に順守をされていないと述べ、EUが合意順守を監視するよう求めた。

【関連記事】
南オセチア攻撃は「自衛のため」
村を焼き住民ら追放 中部ゴリ、3万人が避難生活
EU首脳会議前に欧米分断狙うプーチン
核軍縮やMD協議も凍結か グルジア情勢受け米と報道
暴走する皇帝プーチン「米政権の策略」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080831-00000938-san-int