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2008年08月31日(日) 21時53分

<雇用・能力開発機構>改廃論議が加速へ毎日新聞

 昨年12月の独立行政法人改革で積み残しになっていた厚生労働省所管の「雇用・能力開発機構」の改廃論議が加速する見通しだ。政府の整理合理化計画では1年間の猶予が与えられていたが、「ムダ・ゼロ政府」を掲げる福田康夫首相が8月13日に茂木敏充行革担当相に「早急に結論を出すように」と指示。組織温存を狙う厚労省側は、首相の「変心」に危機感を強めている。

 首相指示を受け、茂木行革相は3日の行政減量・効率化有識者会議(茂木友三郎座長)に独自の改革案を提示し、厚労省との折衝を本格化させる。

 整理合理化計画は機構本体について「存廃を1年をめどに検討」としていた。ただ、景気後退で雇用対策の重要性が高まっている上、約4000人の職員の処遇と絡むため、全面廃止は難しい状況。茂木行革相は機構を「解体」して個別の事業ごとに厳しく是非を判断する方針だ。

 最も関心が高いのは、同機構が運営する若者向け職業体験施設「私のしごと館」(京都府)。03年に580億円を投じて開設したが、毎年度15億円前後の赤字が続き、雇用保険料を管理する国の労働保険特別会計から運営費を補てんしている。

 厚労省は「しごと館」の運営費節減のため9月から民間委託し、その成果を踏まえて12月に結論を出すことにしている。廃止を求める茂木行革相に対し、舛添要一厚労相は「壊す選択肢はない」と反論している。

 茂木行革相は職業訓練指導員を養成する職業能力開発総合大学校(神奈川県)についても「卒業後に指導員になる割合が低い」などの理由で廃止が相当と主張。全国62カ所の職業能力開発促進センターも都道府県に移管するよう求めている。

 これに対し、舛添厚労相は8月27日の報道番組で「必要なものは残す。まず廃止ありきではない。拙速で禍根を残してはいけない」と述べ、茂木行革相をけん制した。【塙和也】

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